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  • 【増値税】中国国内取引OR国外取引?役務の提供に係る内外判定について

    上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 【増値税】中国国内取引OR国外取引?役務の提供に係る内外判定について   増値税は、原則として、以下の場合に課税されます。 ①中国国内において行う取引であること。 ②有形無形資産の譲渡、加工修理、役務の提供であること。 ③対価を得て行う取引であること。 しかしながら、現代社会では取引が中国国内のみではなく、国内と国外にわたって行っている状況が増えており、どのような状況が国内取引に該当するのか又は該当しないのかを判定する必要があります。 そこで国内取引の判定基準及びその具体的な状況について、上海市税務総局の公式アカウントにて解説がありましたので、当ブログにて紹介いたします。     目次: 1.国内取引となる判定基準 2.国内取引に該当しないサービスまたは無形資産の状況 3.内外判定の例 4.根拠規定 1.国内取引となる判定基準  増値税の課税行為によって、国内取引の判定基準は異なります。下表をご参考にしてください。  2.国内取引に該当しないサービスまたは無形資産の状況  国内取引に該当しないサービスまたは無形資産の取引は、以下の通りです。 3.内外判定の例  サービスまたは無形資産の内外判定について、以下の例を挙げて説明します。なお、完全に国外のみで行われる取引(中国語:完全在境外)は国外取引に該当するため、増値税の課税対象にはならず納付は不要です。 完全に国内のみで行われる取引(中国語:完全在境内) 国外企業A社が国内において国内企業B社へ行う工程調査及び探査業務は、国外企業または個人から国内企業または個人に対して完全に国内のみで行われる役務の提供であり、国内での役務提供に属することから国内取引に該当します。 国外企業A社から国内企業B社への、A社の国内における一連の営業権の譲渡は、国外企業または個人から国内企業または個人に対して完全に国内で使用される無形資産の譲渡であり、国内での無形資産の譲渡に属することから国内取引に該当します。 完全に国外のみで行われていない取引(中国語:未完全在境外) 国外企業A社は国内企業B社とコンサルティング契約を結び、B社にコンサルティングサービスを提供し、B社の国内および国外の市場開拓のために市場調査および合理的な経営提案を行った。当該サービスは国内と国外の両方で行われており、国外企業または個人から国内企業または個人に対して完全に国外でのみ行われた役務提供ではなく、国内での役務提供に属することから国内取引に該当します。 国外企業A社は国内企業B社へ特許技術を譲渡し、当該技術はB社の国内および国外の生産ラインで使用されるものである。国外企業または個人から国内企業または個人に対して完全に国外でのみ使用される無形資産の譲渡ではなく、国内での無形資産の譲渡に属することから国内取引に該当します。 完全に国外のみで行われる取引(中国語:完全在境外) 国内個人が海外旅行時に利用する飲食や宿泊サービスは、国外企業または個人から国内企業または個人に対して完全に国外でのみ行われた役務の提供であり、国内での役務提供に属しないため国外取引に該当します。 国外のレンタカー会社が、国外を旅行する中国人居住者に、国外でのセルフドライブツアーのためにレンタカーを提供することは、国外企業または個人が国内企業または個人に対して完全に国外で使用される有形動産のリースであり、国内での賃貸に属しないため国外取引に該当します。 国外企業Aは国内企業Bへ特許技術を譲渡し、当該技術はB社の国外の生産ラインでのみ使用されるものである。国外の企業または個人から国内の企業または個人に対して完全に国外でのみ使用される無形資産の譲渡であり、国内での無形資産の譲渡に属しないため国外取引に該当します。 4.根拠規定 1.営業税を増値税に改める試行プロジェクトの全面的始動に関する財政部及び国家税務総局の通知(財税[2016]第36号) 2.営業税を増値税に改める試行プロジェクトの徴収管理問題に関する国家税務総局の公告(国家税務総局公告2016年第53号) 3.『営業税改め増値税の全面適用に関するガイドライン』 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)

  • 【企業所得税】中国の繰越欠損金と繰越期間

    上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 【企業所得税】中国の繰越欠損金と繰越期間 目次 1、中国の繰越欠損金について 2、欠損金の繰越期間の種類 3、①欠損金の繰越期間・・・5年間の詳細 4、②欠損金の繰越期間・・・8年間の詳細 5、③欠損金の繰越期間・・・10年間の詳細 1、中国の繰越欠損金について  繰越欠損金とは、企業所得税額の計算にあたり、翌事業年度以降の 利益(所得) から差し引くことができる赤字の金額のことです。この税務上の赤字のことを欠損金といい、翌期以降に繰り越せる欠損金のことを繰越欠損金といいます。   企業所得税は 利益(所得) が出たときだけに課税されるので、 欠損金 が生じている場合は企業所得税の支払いはありません。  なお中国には、 日本のように 赤字の企業も支払わなければならない 均等割(※)がありません。 注:均等割・・・赤字でも地方に納付する法人税の制度(日本の税制度)。 詳細は総務省のサイトをご覧ください。 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_08.html 2、欠損金の繰越期間の種類  中国では対象となる企業によって欠損金の繰越期間が異なります。一般的には 『中国企業所得税法』の第十八条より、5年間の繰越期間が適用されます。5年の他には8年と10年があり、適用するには資格などの条件や申請が必要です。 対象企業や欠損金の繰越期間は、以下の通りです。 ①対象企業・・・特殊な規定を除き、通常営業している一般企業  欠損金の繰越期間・・・5年間 ②対象企業・・・ 新型コロナウイルスの影響を大きく受けた困難な産業に属する企業、           映画産業に従事する企業   欠損金の繰越期間・・・ 8年間 ③対象企業・・・ハイテク技術企業及び科学技術型中小企業   欠損金の繰越期間・・・ 10年間 3、①欠損金の繰越期間・・・5年間の詳細 ◆対象企業:特殊な規定を除き、通常営業している一般企業    企業の事業年度に発生した欠損金は、次年度以降に繰越することができ、次年度以降の企業所得税の補填に使用することができる。但し繰越期間は、最長で5年を超えてはならない。  根拠規定:  『中国企業所得税法』第十八条 4、②欠損金の繰越期間・・・ 8年間 の詳細 ◆対象企業(一):新型コロナウイルスによる影響を比較的大きく受け操業が困難な企業  新型コロナウイルスの影響を大きく受けた困難な産業に属する企業において 2020年度に発生した欠損金は、 繰越期間の上限が5年から8年に延長された。 (1) 困難な産業に属する企業 とは、交通運輸業、飲食業、宿泊業、観光業(旅行代理店及び関連サービス業、観光地経営業の2つを指す)の4業種を含み、具体的な判断は現行の『国民経済業種分類』を基準に行う。 (2) 困難な産業に属する企業 の2020年度の主要売上高が収入総額(不課税収入と投資収益を除く)の50%以上を占めるもの。 (3) 新型コロナウイルスの影響を大きく受けた困難な産業に属する企業 が規定に基づき繰越期間の延長政策を適用する場合、2020年度の企業所得税確定申告時に、電子税務局で『繰越欠損年限延長政策適用の声明(适用延长亏损结转年限政策声明)』を提出する必要がある。  根拠規定: 『新型コロナウイルス防疫支援に関連する税収政策に関する公告』(財政部税務総局公告2020年8号)第四条規定 ◆対象企業(二): 映画産業に従事する企業  映画産業に従事する企業において 2020年度に発生した欠損金は、 繰越期間の上限が5年から8年に延長された。  映画産業に従事する企業は、映画の製作、配給、上映に従事する企業に限られ、インターネット、電気通信網、ラジオや テレビなどの情報ネットワークを通じて映画を普及させる企業は含まれない。  根拠規定:「映画産業等に対する税費の支援政策に関する公告」(財政部税務総局公告2020年第25号) 5、③欠損金の繰越期間・・・ 10年間 の詳細 ◆対象企業:ハイテク技術企業及び科学技術型中小企業  2018年1月1日以降、当年度にハイテク企業または科学技術型中小企業の資格を取得した企業は、資格取得年以前の5年間に発生した欠損金のうち、まだ補填されていない欠損金を翌年以降に繰り越すことが認められ、繰越期間の上限が5年から10年に延長される。  当年度に資格を取得した企業の場合、2013年から2018年までの過去5年間において資格の有無にかかわらず、発生した欠損のうち未補填部分について繰越期間を10年間まで延長することができる。  根拠規定: 『財政部税務総局 ハイテク技術企業及び科学技術型中小企業の欠損金の繰越期間の延長に関する通知』(財税【2018】76号)第一条 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行   ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)

  • 【個人所得税】インターンシップの税務上の注意点

    こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。 このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。  上海市税務総局の公式アカウントにて、インターンシップを受け入れる企業向けに、インターン生への日当や報酬に関する個人所得税の税務上の注意点が掲載されていましたので、ご紹介いたします。   目次: 1.インターン生に支払う日当や報酬に関連する個人所得税は、「給与賃金」か「労務報酬」か? 2.インターンシップの特例と通常の労務報酬では、個人所得税額にどれほどの差があるのか? 3.インターン特例の適用フロー(中国個人所得税電子申告システム) 4、インターンシップの規定には、他に注意点はありますか? 1.インターン生に支払う日当や報酬に関連する個人所得税は、「給与賃金」か「労務報酬」か?  インターン生に支払う日当や報酬については、規定により「給与賃金」ではなく、 「労務報酬」として個人所得税の源泉徴収を行います。また、特例として月額5,000元の控除 が適用されます。 ✅ 注意点:  『公告』によれば、対象となるのは 在校生かつ全日制教育を受けている学生 に限られており、 卒業生や非全日制の学生は対象外 です。  そのため、インターン生本人は自身の在学状況を正確に伝え、企業側もその内容をきちんと確認する必要があります。 📚 根拠規定: 『国家税務総局公告2020年第13号』第2条 より: 全日制教育を受けている在校生がインターンシップによって得た労務報酬所得については、源泉徴収義務者は、『国家税務総局 個人所得税源泉徴収申告管理弁法(試行)』(2018年第61号) に基づく「累計源泉徴収方式」により税額を計算・源泉徴収することができます。   2.インターンシップの特例と通常の労務報酬では、個人所得税額にどれほどの差があるのか?    たとえば、全日制の学校教育を受けている在校生の張さんが、7月にある企業でインターンシップを行い、報酬として3,000元を受け取った場合を想定してみましょう。 ■インターンシップの規定 控除額5,000元>報酬3,000元であることから納付すべき個人所得税額はありません。結果として、上記の通常の労務報酬に比べて、インターンシップの規定の方が440元少なくなります。なお、納付すべき個人所得税額が無かったとしても申告は必要です。そのほか、その年において、張君に他に総合所得の区分に該当する所得がない場合は、確定申告も行う必要はありません。 ■ 通常の労務報酬として処理した場合 個人所得税額 =(3,000元 − 800元) × 20% = 440元 4,000元以下の労務報酬には、800元の定額控除が適用されます。 また、課税所得が2万元以下の場合、税率は20%となります。 ■ インターンシップに関する特例が適用される場合 月額5,000元の控除が認められるため:  5,000元 > 3,000元  → 課税所得はゼロ 結果として、 個人所得税の納付は不要 となります。 つまり、 通常の労務報酬扱いと比較して、440元の差額 が生じることになります。 ✅ 注意点: たとえ納税額が「0元」であっても、 申告自体は必要です(=形式上の无税申报) 。 また、その年に張さんが他に「総合所得」に該当する収入がない場合、 確定申告(汇算清缴)も不要 です。 3.インターン特例の適用フロー(中国個人所得税電子申告システム) ✅ 操作フロー: 1️⃣ 個人所得税電子申告システムにログイン 中国の「自然人電子税務局」へアクセス 2️⃣ トップページの「基本情報」セクションを開く 画面上部メニュー「信息采集(情報収集)」→「基本信息」へ進む 3️⃣ 「身份信息(身分情報)」を選択 個人の属性を確認・編集できるページへ移動 4️⃣ 「任職受雇情況(雇用状況)」欄で対象の項目を選択 ドロップダウンメニューの中から 🔻 「实习生(全日制学校教育)」  を選択 5️⃣ 内容を保存して登録完了! 「实习生(全日制学校教育)」  を選択 4、インターンシップの規定には、他に注意点はありますか?  労務報酬は、大きく2つの種類に分類されます。 ✅ ①「保険販売員・証券仲介人・ その他の継続的役務 」 特徴: 継続的・連続性のあるサービス提供 該当例:保険営業、証券会社の営業、 インターンシップ など ✅ 特例: 「累計源泉徴収方式」の適用が可能 ✅ ②「一般業務・法律援助・その他の非継続的役務」 特徴: 単発・短期的な業務 該当例:講演、原稿執筆、単発の法律相談業務 など ❌ 累計源泉徴収方式は 適用不可 💡ポイント: インターン生は、原則として 「継続的な役務提供」 に該当するため、「保険販売員・証券仲介人・その他連続役務」のカテゴリに分類され、 累計控除方式(累计预扣法)を適用することができます。   画面上では、 上段に「保険販売業者・証券仲介人・その他の連続役務」 、 下段に「一般・法律援助手当・その他の非連続役務」 が表示されています。 インターン生の場合は、画面上部に表示されている 「その他連続役務」 (赤枠の上段)を選択してください。 インターン生の場合は、画面上部に表示されている  「その他連続役務」 (赤枠の上段)を選択してください。 📚 根拠規定: 『新個人所得税法の全面実施に関する一定の徴収管理問題に関する国家税務総局の公告』(国家税務総局公告2018年第56号)第一条第(二)項 『個人所得税の源泉徴収申告管理弁法(試行)』(国家税務総局公告2018年第61号)第八条 国家税務総局公告2020年第13号「一部納税者の個人所得税源泉徴収方法の見直しに関する公告(2020年7月28日) 💬 ご相談や詳細なご説明が必要な方は、お気軽にお問い合わせください。 MTACでは、クライアントの皆さまのご要望に寄り添い、さまざまなサービスを提供しております。 月次記帳代行サービス 月次帳簿のチェック 中国子会社の法人設立・登記変更・撤退手続きのサポート 日本語・中国語の翻訳サービス 中国における会計・税務に関するご相談サービス まずはお気軽にご相談ください。 日本語・中国語のどちらにも対応しております。

  • 2025年9月度の記帳為替レート

    こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。 このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。   中国人民銀行より、2025年9月の各外貨レートが発表されました。以下に、 9月初(9月1日)および9月末(9月30日)時点の日本円・米ドル・香港ドルの為替レート をご案内いたします。詳しくは下表をご参照ください。     中国の会計制度においては、外貨建て取引は原則として 取引発生日の為替レート を使用して会計処理を行うこととされていますが、 月初レートの使用も認められています 。  なお、一貫性の原則により、 選択したレートは月内や会計年度内で恣意的に変更しない ことが求められます。  また、期末には、 外貨建ての金融口座および債権債務について、月末時点のレートで換算し直し 、その際に発生する 為替差損益を認識する 必要があります。 2025年9月度の記帳為替レート(中国人民銀行) MTACでは、クライアントの皆さまのご要望に寄り添い、さまざまなサービスを提供しております。 月次記帳代行サービス 月次帳簿のチェック 中国子会社の法人設立・登記変更・撤退手続きのサポート 日本語・中国語の翻訳サービス 中国における会計・税務に関するご相談サービス まずはお気軽にご相談ください。 日本語・中国語のどちらにも対応しております。

  • 【個人所得税】個人へ業務委託する際の労務報酬と個人所得税の扱い

    こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。 このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。 中国現地法人が 個人に業務を委託 するケースは少なくありません。 本稿では、そのような 個人への業務委託に関連する税務 、すなわち「労務報酬」に対する個人所得税について、 上海市税務総局の解説 も交えながら、分かりやすくご紹介いたします。 目次: ✅ 1. 労務報酬の定義 ✅ 2. 給与賃金と労務報酬の違いとは? ✅ 3. 労務報酬の個人所得税の計算方法 ✅ 1. 労務報酬の定義 労務報酬所得とは、「個人」が以下に記載された役務を提供することによって得る所得を指します。 📌 役務提供の範囲 以下のような役務の提供によって得られる所得は、労務報酬所得に該当します。 設計、装飾、設置、製図 化学検査、測定、医療 法律、会計、コンサルティング 学術講演、翻訳、校閲 書画、彫刻、映画、録音、映像、演出、上演 広告、展示、技術サービス 紹介業務、ブローカー業務、代理業務 その他の役務提供 ※上記に明示されていない役務であっても、「その他の役務提供」に含まれると解される場合があります。 📖 根拠となる規定 『中国個人所得税法実施条例』(中国国務院令第707号、2019年1月1日施行) ✅ 2.給与賃金と労務報酬の違いとは? 💼 給与賃金:雇用関係がある場合 給与賃金所得とは、個人が企業・機関・団体・学校・部隊・事業所などに雇用され、被雇用者として労働を提供することで得る報酬を指します。 🤝 労務報酬:雇用関係がない場合 労務報酬所得とは、個人が企業・機関・団体・学校・部隊・事業所などに雇用されていない状態で、独立した立場から技能や芸術等の役務を提供することで得る報酬を指します。 📌 実務上の取扱い 💼 雇用契約に基づく場合(雇用関係あり)   「給与賃金所得」として個人所得税を 源泉徴収・納付 する必要があります。 🤝 業務委託契約に基づく場合(雇用関係なし)   「労務報酬所得」として個人所得税を 源泉徴収・納付 します。  また、税務登記または臨時税務登記を行っていない個人については、業務委託報酬が 500元を超える場合 、 増値税および附加税 の課税対象となります。そのため、個人は自ら申告し、発票を発行する必要があります(税務局での代理発行を含む)。  なお、増値税・附加税については、企業側に 源泉徴収義務はありません 。 📖 根拠となる規定 『国家税務総局「個人所得税を徴収する若干問題の規定」の通知』(国税発〔1994〕89号) 『企業所得税の損金算入証憑管理弁法』公布に関する公告 (国家税務総局公告2018年第28号)9条 ✅ 3. 労務報酬の個人所得税の計算方法 中国居住者の個人に対して労務報酬を支払う場合、企業などの 源泉徴収義務者 は、 スポット単位または月次単位 で個人所得税を源泉徴収・申告納付する必要があります。 中国居住者個人にとって、この源泉徴収は「予納(中国語:予繳)」と位置づけられ、あくまで 暫定的な税額 です。そのため、翌年に行う 総合所得確定申告 において、労務報酬所得を総合所得に合算し、年間の課税所得額を確定させます。 納付額に不足がある場合は 追納💸 、過払いの場合は 還付申請💰 を行います。 ※「総合所得確定申告」と表記する理由:中国の個人所得税申告には「総合所得」「分類所得」「非居住者所得」「株式譲渡所得」などの区分があり、労務報酬等は総合所得に含まれるためです。 📌 労務報酬所得の源泉徴収計算 ■ 控除可能費用額の基準  ✂️ 収入が4,000元以下の場合:一律 800元  を控除 収入が4,000元超の場合: 収入の20%  を控除 ■ 課税所得額の算出方法  🧮 課税所得額 = 収入 − 控除可能費用額 ■ 適用税率と計算例  📊 (居住者個人用「個人所得税の源泉徴収率表二」に基づく) 例①:労務報酬 3,000元  課税所得額 = 3,000 − 800 = 2,200元  税額 = 2,200 × 20% = 440元 例②:労務報酬 10,000元  課税所得額 = 10,000 − 2,000 = 8,000元  税額 = 8,000 × 20% = 1,600元 例③:労務報酬 62,500元  課税所得額 = 62,500 − 12,500 = 50,000元  税額 = 50,000 × 30% − 2,000 = 13,000元 📩 実務に関するご相談は、上海MTACまでお気軽にお問い合わせください。 MTACでは、クライアントの皆さまのご要望に寄り添い、さまざまなサービスを提供しております。 月次記帳代行サービス 月次帳簿のチェック 中国子会社の法人設立・登記変更・撤退手続きのサポート 日本語・中国語の翻訳サービス 中国における会計・税務に関するご相談サービス まずはお気軽にご相談ください。 日本語・中国語のどちらにも対応しております。

  • 【上海ジャピオン014号】増値税電子発票の発行後にミスに気がつきました。当該発票は取り消せますか?

    上海在住の日本人向けの日系情報誌、『 上海ジャピオン 』にて毎月一回コラムを投稿しております。( https://book.yunzhan365.com/bookcase/jhev/index.html )  上海ジャピオンは、食事処やその時期の上海の楽しみ方など様々な現地情報が得られますので上海ジャピオンは上海在住の日本人だけじゃなく、上海に出張する方にもお勧めです。上海出張の際にはぜひ事前にチェックしてみてください。 【上海ジャピオン014号】増値税電子発票の発行後にミスに気がつきました。当該発票は取り消せますか?   数年前から始まった電子増値税発票にもそろそろ慣れてきた頃でしょうか?今回は発行ミスによる赤伝発票の発行について解説しています。紙ベースの発票が主流だった頃を思うと、電子増値税発票に切り替わってからは赤伝発票の発行や処理がスムーズになったと感じます。   1 分ほどで読了できるように 簡潔にざっくりと必要な情報のみを執筆したコラムです ので、どうぞご覧ください。 取り消すには、赤伝発票を発行すること    発行済みの増値税電子発票を直接廃棄することはできず、すでに発行された発票を取り消すには「赤伝発票」を発行する必要があります。近年、中国では増値税電子発票の運用が開始されており、納税者に発行内容の誤り、返品、サービス終了、値引きなどが生じた場合は、規定に基づき赤伝発票を発行する必要があります。   赤伝発票の発行に関する規定  ①発票の受領者が「発票の用途確認処理(仕入発票の認証)」を行っていない場合、発票の受領者による確認処理は不要です。発票の発行者は電子発票の発行プラットホーム上で「赤伝発票情報フォーム(中国語名「赤字信息確認単」)に入力した後、赤伝発票を発行できます。発行される赤伝発票の発行額は全額になります。  ②発票の受領者が既に「発票の用途確認処理(仕入発票の認証)」を行っている場合、発票の受領者と発行者のいずれか一方は電子発票の発行プラットホーム上で「赤伝発票情報フォーム」に入力し、相手方の確認処理後に赤伝発票の発行ができます。発行される赤伝発票の発行額は全額あるいは一部の金額になります。なお、相手方の確認処理は72時間以内という時間制限があります。 ※根拠規定・・・・ ● 電子発票の試行業務の全面的展開に関する国家税務総局上海税務局による公告(国家税務総局上海市税務局公告2022年第1号) MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行   ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)

  • 【上海ジャピオン015号】中国の事業年度は、いつからいつまでですか?

    上海在住の日本人向けの日系情報誌、『 上海ジャピオン 』にて毎月一回コラムを投稿しております。( https://book.yunzhan365.com/bookcase/jhev/index.html )  上海ジャピオンは、食事処やその時期の上海の楽しみ方など様々な現地情報が得られますので上海ジャピオンは上海在住の日本人だけじゃなく、上海に出張する方にもお勧めです。上海出張の際にはぜひ事前にチェックしてみてください。 【上海ジャピオン015号】中国の事業年度は、いつからいつまでですか?   中国では、すべての企業や機関に共通して事業年度が暦年(1月1日~12月31日)に定められており、任意に変更することはできません。この事業年度に基づき、各種税務申告を行う必要があります。  本稿では、日系企業が中国での事業運営にあたって特に関わりの深い「増値税」「個人所得税」「企業所得税」の概要と、それぞれの申告時期について整理しています。実務上の参考として、ご活用いただければ幸いです。   1 分ほどで読了できるように 簡潔にざっくりと必要な情報のみを執筆したコラムです ので、どうぞご覧ください。 全ての機関が同じ事業年度   中国の事業年度は、法律により西暦1月1日から12月31日までと規定されており、自由に設定や変更することはできません。また国家機関、内資や外資企業などの全ての機関に適用されています。この事業年度内において、私たち日系企業は様々な税金を申告します。主要な税金は次のとおりです。 増値税  日本の消費税に相当し、 商品の販売やサービスの提供に対してかかる税金です 。一般的には、一般納税人の登録事業者は月次申告、それ以外のいわゆる小規模納税人とよばれる事業者は四半期ごとに申告します。 個人所得税  日本の所得税に相当し、企業側が従業員の給料から源泉徴収し申告します。なお、中国には日本の年末調整制度はありません。個人所得税の確定申告期間は翌年3月1日から6月30日までです。 企業所得税  日本の法人税に相当し、 法人の企業活動により得られる所得に対して課される税です。 四半期ごとに仮決算を行い申告します。なお、企業所得税の確定申告期間は翌年1月1日から5月31日までです。  申告期限が過ぎてからの申告や無申告の場合は、延滞金や加算税、さらには罰金などが生じますので申告期限はしっかり守りましょう! ※根拠規定・・・・ ●中華人民共和国会計法 ●中華人民共和国徴税管理法 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行   ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)

  • 【上海ジャピオン016号】申告期限を超えてしまったので延滞税が生じました。延滞税は損金算入できますか?

    上海在住の日本人向けの日系情報誌、『 上海ジャピオン 』にて毎月一回コラムを投稿しております。( https://book.yunzhan365.com/bookcase/jhev/index.html )  上海ジャピオンは、食事処やその時期の上海の楽しみ方など様々な現地情報が得られますので上海ジャピオンは上海在住の日本人だけじゃなく、上海に出張する方にもお勧めです。上海出張の際にはぜひ事前にチェックしてみてください。 【上海ジャピオン016号】申告期限を超えてしまったので延滞税が生じました。延滞税は損金算入できますか?   中国における税務対応では、期限を守ることが非常に重要です。納税や申告の遅延があった場合、延滞税や罰金といった追加的なコストが発生するため、企業としてのリスク管理の観点からも十分な理解と注意が求められます。  本稿では、税務上の延滞により発生する「延滞税」の仕組みと計算方法、また税務上の損金算入の可否について、罰金等の取扱いも含めて整理しています。中国現地での実務において、予期せぬコストを避けるための参考資料としてご活用いただければ幸いです。   1 分ほどで読了できるように 簡潔にざっくりと必要な情報のみを執筆したコラムです ので、どうぞご覧ください。 延滞税とは?   延滞税とは、納税者または源泉徴収義務者が規定の期間内に税金を納付しなかったことにより、税務当局の命令により日割りで課される追加の延滞金のことです。    延滞税の税率は0.05%(0.0005)、延滞日数は納税期限の翌日から起算されます。  例として、納税額を1万元、延滞日数を5日間とした場合、延滞税は25元です。(延滞税=納税額×延滞日数×0.05%)。  延滞税の目的は、延滞税を課すことにより納税者または源泉徴収義務者に税金を適時に納付するように促すことです。ペナルティの要素が含まれるため、延滞税は規定により損金算入が認められていません。  延滞税が生じた結果、納付すべき企業所得税額が増えることにもなりかねないので、申告期限と納税期限はしっかり守りましょう。   罰金は、損金算入されますか?  法律や行政法規の違反行為により生じる罰金には刑事罰や行政罰がありますが、いずれも法律、規定あるいは行政法規に違 反する行為のため、規定により損金算入は認められていません。  一方で 企業活動においては、商慣行違反や企業間で締結した契約の不履行や違反行為により罰金や違約金、損害賠償金、訴訟費用などが生じることがあります。規定によると、これら費用が企業に実際に生じており、獲得する収入と関連性や合理性がある場合は損金算入が認められます。 ※根拠規定・・・・ ● 中華人民共和国 企業所得税法 ● 中華人民共和国徴税管理法 徴税管理法 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行   ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)

  • 【上海ジャピオン017号】附加税とは、何ですか?

    🌟**『上海ジャピオン』で毎月コラムを連載中です!**  私(太田早紀)は、日系情報誌『上海ジャピオン』にて、毎月1回コラムを執筆しています。▶︎ 最新号はこちらからご覧いただけます: https://book.yunzhan365.com/bookcase/jhev/index.html  『上海ジャピオン』は、飲食店情報や季節ごとの楽しみ方など、上海での生活や滞在に役立つローカル情報が満載。上海にお住まいの方はもちろん、出張などで短期滞在される方にもおすすめの一冊です。   上海出張のご予定がある方は、ぜひ事前にチェックしてみてくださいね! 【上海ジャピオン017号】附加税とは、何ですか?  「附加税(ふかぜい)」という言葉、聞き慣れない方も多いかもしれませんが、実は中国でビジネスをするうえでとても身近な存在です。毎月の増値税申告とセットで発生するこの税金、 どのようなときに課され、どうやって計算するのか? また、 現在実施されている“半減”の減税措置 についても、実務目線でわかりやすく整理しました。  中国での会計・税務管理に携わる方や、これから中国でのビジネス展開を考えている方は、ぜひチェックしてみてください。 当月納付すべき増値税額があれば発生する税金  附加税とは、当月の納付すべき増値税額がベースとなって課される税金のことです。当月の増値税申告時に納付すべき増値税額が生じていれば附加税が発生し、生じてなければ附加税も発生しません。附加税によく似た言葉に付加価値税(英語でvalue-added tax、略してVAT)がありますが別物で、中国では 増値税 のことを指します。 (税の話「15号」) 附加税の種類と計算  附加税には「都市維持建設税」「教育費附加」「地方教育費附加」の三種類があり、それぞれ税率が異なります。中でも「都市維持建設税」は、納税者の所在地により税率が異なります(市区:7%、県や鎮:5%、その他地区:1%)。また「教育費附加」は3%、「地方教育費附加」は2%です。市区所在の納税者で、当月の納付すべき増値税額が1万元であった場合、附加税額は10,000元×(7%+3%+2%)=1,200元です。  減税の対象  規定によると、対象者(増値税小規模納税者、小規模企業、個人事業主)は、2023年1月1日から2027年12月31日までの期間を対象に、各種附加税が半減されます。減税を受けるにあたり、自ら申請をする必要はありません。対象者は自動的に適用されます。 ※根拠規定・・・・ ● 財政部税務総局公告2023年第12号 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行   ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)

  • 【上海ジャピオン018号】中国の損益計算書の「販売費用、管理費用、財務費用」とは、なんですか?

    🌟**『上海ジャピオン』で毎月コラムを連載中です!**  私(太田早紀)は、日系情報誌『上海ジャピオン』にて、毎月1回コラムを執筆しています。▶︎ 最新号はこちらからご覧いただけます: https://book.yunzhan365.com/bookcase/jhev/index.html  『上海ジャピオン』は、飲食店情報や季節ごとの楽しみ方など、上海での生活や滞在に役立つローカル情報が満載。上海にお住まいの方はもちろん、出張などで短期滞在される方にもおすすめの一冊です。   上海出張のご予定がある方は、ぜひ事前にチェックしてみてくださいね! 【上海ジャピオン018号】中国の損益計算書の「販売費用、管理費用、財務費用」とは、なんですか?  会社の決算書には「販売費用」「管理費用」「財務費用」という項目があります。いずれも商品やサービスの原価とは別に発生する費用で、企業活動を理解するうえで重要な指標です。    中国で会計・税務管理に携わる方や、これから中国でのビジネス展開を検討している方は、ぜひチェックしてみてください。 原価にかかわらないもの  これらの費用 は、本業の営業活動にかかる費用のうち、原価に関わらないものを指します。原価とは、材料の仕入など、商品やサービスを生み出すために直接的に必要となる費用のことです。これら三種類の費用は総じて三大期間費用と呼ばれます。 販売費用とは  商品やサービスの販売、宣伝などの販売活動で発生した費用のことです。商品を販売する営業スタッフの給与や交通費、広告宣伝費、物流費などが該当します。    管理費用とは   生産や運営のため の管理業務を行う際に発生した費用のことです。原価や販売費用とは異なり、商品の販売やサービスの提供とは直接的な関係はありません。例えば、人事や財務などの間接部門の人件費や通信費、事務用品費、事務所の家賃や水道光熱費などが該当します。   財務費用とは   生産や運営のために資金を調達する財務活動によって発生した費用のことです。銀行から受け取る利息収入、利息費用、為替差損益、銀行手数料などが該当します。 以上の費用は企業が営業活動をするにあたって発生する費用ですが、増加すると利益を圧迫しかねないため、注意しましょう。 ※根拠規定・・・ ● 小企業会計準則 ●企業会計準則 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行   ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)

  • 【個人所得税】「労務報酬」の税金について⑥

    中国販路拡大コンサルタントの太田早紀です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。 【個人所得税】「労務報酬」の税金について⑥  上海市税務局の微信公式アカウントで「労務報酬」の税金について解説がありました。 全7点の解説がありましたので、今回は6点目の 非居住者個人が取得する労務報酬所得の計算方法 について紹介いたします。 目次: ①  労務報酬の概念 ② 労務報酬と給与賃金の関係 ③ 労務報酬と経営所得の区別 ④ 個人が取得する異なる項目の労務報酬の納税試算方法 ⑤ 労務報酬収入額の認定 ⑥  非居住者個人が取得する労務報酬所得の計算方法 ⑦ 計算方法の紹介 ⑥非居住者個人が取得する労務報酬所得の計算方法  「国家税務総局 新個人所得税法の全面施行に係る徴収管理の経過措置に関する若干の問題についての公告」(国家税務総局公告【2018】56号)規定より、労務報酬所得・原稿執筆所得・特許権使用料所得は毎回の所得額を課税所得額とし 、 源泉徴収率表三を適用し納税額を算出する。 ●労務報酬所得・原稿執筆所得・特許権使用料所得は、収入から20%の費用を差し引いた残額を課税所得額とする。(さらに原稿執筆所得の所得額は70%に減額して計算する。) ↓ 源泉徴収率表三 ●非居住者個人の労務報酬所得の公式は以下の通りです。 納税額=課税所得額× 税率-速算控除額 ●例 非居住者個人の太田は2019年に以下収入を得た。 ①4月労務報酬所得2,000元 ②8月労務報酬所得8,000元 ③10月原稿執筆所得5,000元 ④12月特許権使用料所得20,000元 計算: 4月:源泉徴収義務者が徴収した個人所得税額=2,000×(1-20%)×3%=48元 8月:源泉徴収義務者が徴収した個人所得税額=8,000×(1-20%)×10%-210=430元 10月:源泉徴収義務者が徴収した個人所得税額=5,000×(1-20%)×70%*3%=84元 12月:源泉徴収義務者が徴収した個人所得税額=20,000×(1-20%)×20%-1,410=1,790元    なお、非居住者個人は居住者個人と異なり、『予定源泉徴収納付』ではなく『源泉徴収納付』になりますのでご留意ください。非居住者個人の税額は毎回確定しているため、非居住者個人は確定申告が不要です。 【顧問サービスのご案内】 弊社では各種顧問サービスを提供しております。 ●月次での記帳代行 ●毎月記帳証票と会計データを日本事務所に郵送して頂き、日本事務所内でのチェック ●弊社日本人担当者が3か月に1回訪中し、顧問先様の社内での記帳証票等の往査 顧問先様のご要望にあわせてサービス内容を柔軟にカスタマイズいたします。

  • 【個人所得税】KOLインフルエンサーなどの個人への支払い、『労務報酬』の税金とは?⑥

    こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。 このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。  中国法人による個人への業務委託の中でも、近年はSNSマーケティングの発展に伴い、インフルエンサー(中国では「KOL(Key Opinion Leader)」と呼ばれます)への委託が増加しています。  そこで本稿では、こうした個人への業務委託に関連する税務、すなわち「労務報酬」に対する個人所得税について、上海市税務総局の解説も交えながら、わかりやすくご紹介いたします。  なお本記事は、全7回にわたる記事シリーズの第6回「 非居住者個人に支払う労務報酬・原稿料・特許料の税金計算方法【具体例付き】 」にあたります。シリーズでは、制度の基礎から具体的な計算方法に至るまでを段階的に解説しておりますので、ぜひ文末の「あわせて読みたい」リンクから他の記事もあわせてご覧ください。 6、「非居住者個人に支払う労務報酬・原稿料・特許料の税金計算方法【具体例付き】」  中国非居住者の個人に対して労務報酬を支払う場合、または原稿執筆料や特許権の使用料を支払う場合、企業などの源泉徴収義務者は、 スポット単位または月次単位 で個人所得税を源泉徴収し、申告・納付を行う必要があります。  中国非居住者にとって、この源泉徴収は 確定申告に該当する ため、翌年度における総合所得確定申告は不要となります。 ■ 控除可能費用額の考え方 非居住者が取得する以下の所得については、それぞれ次のとおり控除が認められています: 労務報酬所得 原稿執筆料所得 特許権使用料所得 控除可能費用額は、以下のように計算されます: 控除可能費用額 = 収入 × 20%課税所得額 = 収入 − 控除可能費用額 ※ 原稿執筆料所得 については、上記で算出された課税所得額に さらに70%を乗じた額 が最終的な課税所得額となります。 ■ 個人所得税の計算式 非居住者に対する源泉徴収額は、次の公式で計算します: 個人所得税額 = 課税所得額 × 税率 − 速算控除額     ※ 税率と速算控除額は 個人所得税税率表三 を適用します。 ■ 計算例:非居住者に対する労務報酬・原稿料・特許使用料の個人所得税  中国非居住者である 個人A が、2020年に以下の収入を得たケースを例に、各種所得の税額を試算してみます。 ① 4月:労務報酬所得 2,000元 課税所得額:2,000 ×(1 - 20%)= 1,600元 適用税率:3%(税率表三) 個人所得税額:1,600 × 3% = 48元 ② 8月:労務報酬所得 8,000元 課税所得額:8,000 ×(1 - 20%)= 6,400元 適用税率:10%/速算控除額210元 個人所得税額:6,400 × 10% - 210 = 430元 ③ 10月:原稿執筆料所得 5,000元 控除後:5,000 ×(1 - 20%)= 4,000元 更に70%を乗じて課税所得:4,000 × 70% = 2,800元 適用税率:3% 個人所得税額:2,800 × 3% = 84元 ④ 12月:特許権使用料所得 20,000元 課税所得額:20,000 ×(1 - 20%)= 16,000元 適用税率:20%/速算控除額1,410元 個人所得税額:16,000 × 20% - 1,410 = 1,790元 【根拠となる規定】 「国家税務総局 新個人所得税法の全面施行に係る徴収管理の経過措置に関する若干の問題についての公告」(国家税務総局公告〔2018〕56号) MTACでは、クライアントの皆さまのご要望に寄り添い、さまざまなサービスを提供しております。 月次記帳代行サービス 月次帳簿のチェック 中国子会社の法人設立・登記変更・撤退手続きのサポート 日本語・中国語の翻訳サービス 中国における会計・税務に関するご相談サービス まずはお気軽にご相談ください。 日本語・中国語のどちらにも対応しております。

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