中国販路拡大コンサルタントの太田早紀です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。
【個人所得税】インターンシップの税務上の注意点
上海市税務総局の公式アカウントにて、インターンシップを導入する企業向けに、インターン生に支払う日当や報酬に関連する個人所得税について税務上の注意点を掲載していましたので、紹介いたします。
1、インターン生に支払う日当や報酬に関連する個人所得税を源泉徴収する際、『給与賃金』もしくは『労務報酬』のどちらになるのか?
インターン生に支払う日当や報酬は、規定により『給与賃金』ではなく、『労務報酬』に基づき源泉徴収を行います。また特別に月額5,000元の控除が認められています。
注意点は、公告によると、インターン生は在校生であること及び全日制教育を受けていることが要件であり、卒業生や非全日制教育はこの対象に含まれないことです。そのためインターン生は自身の状況を正確に伝え、また企業側はインターン生の状況を正確に把握する必要があります。
【根拠規定】
『国家税務総局2020年第13号公告』の第二条より、全日制の学校教育を受けている学生がインターンシップで得た労務報酬所得は、源泉徴収義務者が個人所得税を源泉徴収して納付する際、『国家税務総局 (個人所得税の源泉徴収申告管理弁法(試行))』(2018年61号)に規定する累計源泉徴収方法に基づき計算し源泉徴収することができる。
2、インターンシップの規定と通常の労務報酬では、個人所得税額にどのくらい差が出るのか?
たとえば、全日制の学校教育を受けている在校生の張君が、7月に某企業でインターンシップを行い、報酬として3,000元を受け取った場合で考えてみたいと思います。
■通常の労務報酬
個人所得税額=(3,000元-800元)×20%=440元
報酬が4,000元以下の場合、控除額は800元です。
課税所得額が20,000元以下の場合、税率は20%です。
■インターンシップの規定
控除額5,000元>報酬3,000元であることから納付すべき個人所得税額はありません。結果として、上記の通常の労務報酬に比べて、インターンシップの規定の方が440元少なくなります。なお、納付すべき個人所得税額が無かったとしても申告は必要です。そのほか、その年において、張君に他に総合所得の区分に該当する所得がない場合は、確定申告も行う必要はありません。
↓インターンシップの規定を適用するには、個人所得税の電子申告・納税システム内の個人情報で設定を行います。赤枠内のインターン生(全日制学校教育)を選択します。
3、インターンシップの規定には、他に注意点はありますか?
労務報酬は大きく分けて2種類あります。一つは『保険販売業者、株式仲買人、その他連続役務』、もう一つは『一般、法律援助手当、その他非連続役務』です。インターン生は『保険販売業者、株式仲買人、その他連続役務』に属します。
両者の違いは、『保険販売業者、株式仲買人、その他連続役務』が申告時に、『累計源泉徴収方法』を採用することができることに対し、『一般、法律援助手当、その他非連続役務』は採用できないことです。
↓上段が『保険販売業者、株式仲買人、その他連続役務」、下段が『一般、法律援助手当、その他非連続役務』です。
↓インターン生はその他連続役務(赤枠上)を選択します。
【根拠規定】
『新個人所得税法の全面実施に関する一定の徴収管理問題に関する国家税務総局の公告』(国家税務総局公告2018年第56号)第一条第(二)項
『個人所得税の源泉徴収申告管理弁法(試行)』(国家税務総局公告2018年第61号)第八条
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