【個人所得税】インターンシップの税務上の注意点
- ohtashmtac
- 2023年2月23日
- 読了時間: 5分
更新日:10月16日
こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。
このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。

上海市税務総局の公式アカウントにて、インターンシップを受け入れる企業向けに、インターン生への日当や報酬に関する個人所得税の税務上の注意点が掲載されていましたので、ご紹介いたします。
目次:
1.インターン生に支払う日当や報酬に関連する個人所得税は、「給与賃金」か「労務報酬」か?
2.インターンシップの特例と通常の労務報酬では、個人所得税額にどれほどの差があるのか?
3.インターン特例の適用フロー(中国個人所得税電子申告システム)
4、インターンシップの規定には、他に注意点はありますか?1.インターン生に支払う日当や報酬に関連する個人所得税は、「給与賃金」か「労務報酬」か?
インターン生に支払う日当や報酬については、規定により「給与賃金」ではなく、「労務報酬」として個人所得税の源泉徴収を行います。また、特例として月額5,000元の控除が適用されます。
✅ 注意点:
『公告』によれば、対象となるのは在校生かつ全日制教育を受けている学生に限られており、卒業生や非全日制の学生は対象外です。
そのため、インターン生本人は自身の在学状況を正確に伝え、企業側もその内容をきちんと確認する必要があります。
📚 根拠規定:
『国家税務総局公告2020年第13号』第2条より:
全日制教育を受けている在校生がインターンシップによって得た労務報酬所得については、源泉徴収義務者は、『国家税務総局 個人所得税源泉徴収申告管理弁法(試行)』(2018年第61号) に基づく「累計源泉徴収方式」により税額を計算・源泉徴収することができます。
2.インターンシップの特例と通常の労務報酬では、個人所得税額にどれほどの差があるのか?
たとえば、全日制の学校教育を受けている在校生の張さんが、7月にある企業でインターンシップを行い、報酬として3,000元を受け取った場合を想定してみましょう。
■インターンシップの規定
控除額5,000元>報酬3,000元であることから納付すべき個人所得税額はありません。結果として、上記の通常の労務報酬に比べて、インターンシップの規定の方が440元少なくなります。なお、納付すべき個人所得税額が無かったとしても申告は必要です。そのほか、その年において、張君に他に総合所得の区分に該当する所得がない場合は、確定申告も行う必要はありません。
■ 通常の労務報酬として処理した場合
個人所得税額 =(3,000元 − 800元) × 20% = 440元
4,000元以下の労務報酬には、800元の定額控除が適用されます。
また、課税所得が2万元以下の場合、税率は20%となります。
■ インターンシップに関する特例が適用される場合
月額5,000元の控除が認められるため: 5,000元 > 3,000元 → 課税所得はゼロ
結果として、個人所得税の納付は不要となります。
つまり、通常の労務報酬扱いと比較して、440元の差額が生じることになります。
✅ 注意点:
たとえ納税額が「0元」であっても、申告自体は必要です(=形式上の无税申报)。
また、その年に張さんが他に「総合所得」に該当する収入がない場合、確定申告(汇算清缴)も不要です。
3.インターン特例の適用フロー(中国個人所得税電子申告システム)
✅ 操作フロー:
1️⃣ 個人所得税電子申告システムにログイン
中国の「自然人電子税務局」へアクセス
2️⃣ トップページの「基本情報」セクションを開く
画面上部メニュー「信息采集(情報収集)」→「基本信息」へ進む
3️⃣ 「身份信息(身分情報)」を選択
個人の属性を確認・編集できるページへ移動
4️⃣ 「任職受雇情況(雇用状況)」欄で対象の項目を選択
ドロップダウンメニューの中から 🔻 「实习生(全日制学校教育)」 を選択
5️⃣ 内容を保存して登録完了!

4、インターンシップの規定には、他に注意点はありますか?
労務報酬は、大きく2つの種類に分類されます。
✅ ①「保険販売員・証券仲介人・その他の継続的役務」
特徴:継続的・連続性のあるサービス提供
該当例:保険営業、証券会社の営業、インターンシップ など
✅ 特例:「累計源泉徴収方式」の適用が可能
✅ ②「一般業務・法律援助・その他の非継続的役務」
特徴:単発・短期的な業務
該当例:講演、原稿執筆、単発の法律相談業務 など
❌ 累計源泉徴収方式は適用不可
💡ポイント:
インターン生は、原則として「継続的な役務提供」に該当するため、「保険販売員・証券仲介人・その他連続役務」のカテゴリに分類され、累計控除方式(累计预扣法)を適用することができます。
画面上では、
上段に「保険販売業者・証券仲介人・その他の連続役務」、
下段に「一般・法律援助手当・その他の非連続役務」が表示されています。

インターン生の場合は、画面上部に表示されている
「その他連続役務」(赤枠の上段)を選択してください。

📚 根拠規定:
『新個人所得税法の全面実施に関する一定の徴収管理問題に関する国家税務総局の公告』(国家税務総局公告2018年第56号)第一条第(二)項
『個人所得税の源泉徴収申告管理弁法(試行)』(国家税務総局公告2018年第61号)第八条
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