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- 【個人所得税】中国国外で得た所得の申告と納税について
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少し でも役立つようでしたら幸いです。 【個人所得税】中国国外で得た所得の申告と納税について 中国法人から中国国外の企業に派遣されたり、中国国内の居住者個人で中国国外に資産がありその資産を運用しているなど、中国国内の居住者が中国国外で所得を得ることが日常的になってきたものと感じています。 そこで今回は、上海市税務総局による中国国内の居住者個人が中国国外で所得を得た場合の申告や納税について解説を紹介いたします。 目次: 1.中国国外を源泉とする所得の種類 2.中国国内源泉所得との合算の要否 3.中国の外国税額控除について 4. 外国税額控除を利用する際の添付資料 1.中国国外を源泉とする所得の種類 財政部および税務総局による「国外所得に関する個人所得税の政策に関する」公告(財政部税務総局公告2020年第3号)によると、 当該規定の対象となる中国国外所得は個人所得税の課税対象です。 当該規定による中国国外を源泉とする所得の種類は、以下の通りです。 (1) 中国国外で就労、雇用、契約履行などの役務を提供したことにより得た所得。 (2) 中国国外企業およびその他の組織が支払い、かつ負担する原稿料による所得(印税収入)。 (3) 中国国外での使用を許可することで得た各種特許ライセンスによる所得。 (4) 中国国外で従事する生産または事業活動から得られた所得で、それらの生産または事業活動に関連する所得。 (5) 中国国外企業、その他の組織および非居住者個人から得た利息、配当による所得。 (6) 中国国外で使用する目的で賃借人に財産を貸し出すことにより得た所得。 (7) 中国国外の不動産の譲渡、中国国外企業およびその他の組織への投資により形成された株式、持分およびその他の持分資産(以下、持分資産)の譲渡、または中国国外におけるその他の財産の譲渡により得た所得。ただし、中国国外企業やその他の組織への投資により形成された持分資産の譲渡について、持分資産の譲渡前の3年間(連続する暦月36カ月間)のいずれかの時点で、投資先企業またはその他の組織の資産の公正市場価値の50%以上が中国国内の不動産から直接または間接的に生じている場合、その所得は中国国内を源泉とする所得となります。 (8) 中国国外の企業、その他の組織および非居住者個人が支払い、かつ負担する一時所得。 (9) 財政部、税務総局が別途規定を定めている場合は、関連規定に従って実施する。 根拠規定:財政部および税務総局による「国外所得に関する個人所得税の政策に関する」公告(財政部税務総局公告2020年第3号) 第一条 2.中国国内源泉所得との合算の要否 中国国外源泉所得のうち、所得の種類によっては中国国内で申告が必要です。 中国国内で申告が必要な所得に該当する場合、居住者個人は、「個人所得税法」およびその実施条例の規定に基づき、中国国内および中国国外で得た当期の所得に対して納税額を計算する必要があります。 (1)居住者個人が中国国外を源泉とする総合所得は、中国国内の総合所得と合算して納税額を計算する必要がある。 (2)居住者個人が得た中国国外を源泉とする事業所得は、中国国内の事業所得と合算して納税額を計算する必要がある。居住者個人が得た中国国外を源泉とする事業所得は、「個人所得税法」及びその実施条例の関連規定に基づき損失を計算し、当該居住者の国内または他国(地域)における課税所得と相殺してはならない。ただし、中国税法の規定にもとづき、同一の国(地域)を源泉とする以降年度の事業所得と相殺することはできる。 (3) 居住者個人が得た中国国外を源泉とする利息、配当所得、財産の賃貸による所得、財産の譲渡による所得および一時所得(以下「その他の分類所得」という)は、国内所得と合算せず、個別に計算して納税額を決定する必要がある。 根拠規定:財政部および税務総局による「国外所得に関する個人所得税の政策に関する」公告(財政部税務総局公告2020年第3号) 第二条 3.中国の外国税額控除について 居住者個人が一課税年度内で中国国外を源泉とする所得を得て、その所得の源泉とする国(地域)の税法の規定に従い所得税を納税している場合、 控除限度額の範囲内でその課税年度の納税額から控除できます。 控除限度額の計算式は以下の通りです。 (1) ある国(地域)を源泉とする総合所得に対する控除限度額=中国内外の総合所得に対して本公告第二条に基づき計算された総合所得の納税額×その国(地域)を源泉とする総合所得の収入額÷中国内外の総合所得の収入額 (2)ある国(地域)を源泉とする事業所得に対する控除限度額=中国内外の事業所得に対し本公告第二条に基づき計算された事業所得の納税額×その国(地域)を源泉とする事業所得の課税所得÷中国内外の事業所得の課税所得総額 (3) ある国(地域)のその他の分類所得に係る控除限度額=その国(地域)のその他の分類所得に係る税額で、本公告第二条に基づき計算した納税額 (4) ある国(地域)を源泉とする所得に対する控除限度額=その国(地域)を源泉とする総合所得に対する控除限度額+その国(地域)を源泉とする事業所得に対する控除限度額+その国(地域)を源泉とするその他の分類所得に対する控除限度額 根拠規定:財政部および税務総局による「国外所得に関する個人所得税の政策に関する」公告(財政部税務総局公告2020年第3号) 第三条 4. 外国税額控除を利用する際の添付資料 居住者個人が外国税額控除を申告する場合、特に規定がない限り、その税額に係る年分の国外の税務当局が発行する「納税証明書」、「納税領収書」または「納税記録」などを提出する必要があります。提出された納税証明書が要件を満たさない場合、税額控除は認められません。 納税者が「納税証明書」を提出できない場合、外国所得の確定申告書(または外国の税務当局が確認した納税通知書)および対応する銀行支払証明書を使用して、外国所得の税額控除を申請することもできます。 根拠規定:財政部および税務総局による「国外所得に関する個人所得税の政策に関する」公告(財政部税務総局公告2020年第3号) 第十条 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 【企業所得税】四半期予定申告書の読み方
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 【企業所得税】四半期予定申告書の読み方 中国では四半期ごとに企業所得税の予定申告があります。今回は企業所得税の予定申告書をチェックする際に押さえておきたい3つのポイントを 紹介いたします。 ポイント1、利益総額 利益総額とは、日本の会計用語に照らし合わせると「税引前当期純利益」に該当します。 売上高から売上原価と販売費用、管理費用、財務費用を差し引き、営業外収入と営業外支出を足し引きした金額のことを中国では「利益総額」と言います。 企業所得税の予定申告書の1列目が売上高、2列目が売上原価であることから、3列目は売上総利益ではと思いたくなりますが利益総額の金額です。 企業所得税の予定申告書のチェックにおいて、この利益総額と損益計算書(P/L)の利益総額の金額が一致していることを確認します。一致していない場合は内容を精査し修正をします。 ポイント2、過年度繰越欠損の補填 企業所得税の予定申告書のチェックにおいて、 当期が黒字かつ過年度に繰越欠損がある場合は、繰越欠損が補填されているかを確認します。なお、eTAXではシステムにより自動的に補填されるようになっています。ただし第一四半期申告は、前期の企業所得税の確定申告が完了していないことから欠損金が確定していないため、システムにより繰越欠損の補填ができないようになっていますので注意が必要です。繰越欠損の補填は、一般的には第二四半期以降にできるようになっています。 関連記事: 【企業所得税】中国の繰越欠損金と繰越期間 ポイント3、納付すべき企業所得税額 企業所得税の予定申告書のチェックにおいて、 当期に納付(還付)すべき企業所得税額が生じているかどうかを確認します。 原則の企業所得税率25%で企業所得税額を計算します。自社が小規模事業者の要件に該当する場合は、企業所得税率が20%減免される優遇政策が適用されます。優遇政策を適用するにあたり届け出は必要ないため、予定申告書の作成時に直接適用します(13列目、13.1列目)。 16列目は当期に納付(還付)すべき企業所得税額で、12列目の納付すべき企業所得税額から13列目の企業所得税の減免額や14列目の当期に実際に納付した企業所得税額を差し引いた後の金額がゼロよりも大きい場合はその金額を当期に納付すべき企業所得税額として納付し、ゼロよりも小さい場合は過大納付になるため還付されます。なお還付は、別途還付申請が必要です。 関連記事: 【企業所得税】小規模企業の税率5%を2027年末まで延長! 【企業所得税】年度決算の課税所得の算出方法(2023年度版) MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 【労務】中国における残業代の計算方法【2025年~】
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 【労務】中国における残業代の計算方法【2025年~】 2025年1月1日より、すべての国民に春節と労働節の法定休日がそれぞれ1日ずつ追加され、計13日になりました。これに伴い、法定休日および振替休日に変更がありましたので、中国の労働時間制度や割増賃金制度を含めて解説いたします。 中国の労働時間制度 中国の労働時間制度には、 標準労働時間制度、労働時間総合計算制度、変形労働時間制度 の3種類があります。 標準労働時間制度 ・・・法律によって定められた基本的な労働時間制度。法定労働時間は1日8時間、1週間に40時間。時間外労働は、原則として1日1時間まで、特別な事情がある場合でも1日3時間、1 カ月 36時間を超えてはならないとされている。 労働時間総合計算制度 ・・・週、月、四半期、年などのサイクルに基づいて労働時間を総合的に計算する制度。繁忙期には、一定期間に認められる総労働時間が1日8時間、週40時間の制限を超えることがある。導入するには労働行政部門の承認が必要。 変形労働時間制度 ・・・固定労働時間による制限を受けない労働時間のことをいう。導入するには労働行政部門の承認が必要。 標準労働時間制度の割増賃金 ■割増賃金 労働日:150%(150%を下回ってはいけない) 休日:200%(200%を下回ってはいけない) 法定休日:300%(300%を下回ってはいけない) ■割増賃金の計算式 労働日の割増賃金=月給÷21.75日÷8時間×時間外労働時間×150% 休日の割増賃金=月給÷21.75日÷8時間×時間外労働時間×200% 法定休日の割増賃金=月給÷21.75日÷8時間×時間外労働時間×300% 休日の割増賃金は、会社が休日を与えることで代休とすることができ、休日を与えることができない場合は時間外手当を支払う。 ■時間外労働をするには 雇用主と労働組合(工会)と従業員が協議一致した場合、時間外労働をさせることができる。 法定休日、振替休日、割増賃金 2025年1月1日より、すべての国民に春節と労働節の法定休日がそれぞれ1日ずつ追加され、計13日になりました。これに伴い、法定休日および振替休日に次のとおりの変更がありました。 法定休日に労働をさせる場合、雇用主は割増賃金を代休で代替することはできません。 根拠規定 中華人民共和国労働法 賃金支払いに関する暫定規則 「従業員の労働時間に関する国務院の規定」国務院令第146号 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 【増値税法】中国増値税法【参考訳】
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 【増値税法】中国増値税法【参考訳】 2026年1月1日から「中華人民共和国増値税法」が施行されます 。本法の施行と同時に「中華人民共和国増値税暫定条例」は廃止されます。本法の主な変更点は立法趣旨に関する規定が明記されたことや規定内容が詳細化されたことです。たとえば国外納税者が中国国内で課税取引がある場合、国内代理人を選任して税務申告を行うことを認める、などの規定です。 本法の参考訳を掲載いたしますのでご参考になれば幸いです。 目次 第1章 総則 第2章 税率 第3章 納付すべき税額 第4章 優遇税制 第5章 徴収および管理 第6章 附則 第1章 総則 第一条 本法は、強化により増値税制度の高品質な発展を促進すること、増値税の徴収と納付を標準化すること、納税者の正当な権利と利益を保護することを目的として制定される。 第二条 増値税の税収業務は、党と国家の路線方針、政策、決定により実行し、国民経済と社会発展に奉仕しなければならない。 第三条 中華人民共和国の国境内(以下、国内と称する)において、物品販売、サービス提供、無形資産譲渡、不動産譲渡(以下、課税取引と称する)及び物品輸入を行う法人および個人(個人事業主を含む)は増値税の納税義務者であり、本法の規定に従って増値税を納付しなければならない。 物品販売、サービス提供、無形資産譲渡、不動産譲渡とは、有償での物品、不動産の所有権移転、有償でのサービス提供を意味し、また有償での無形資産の所有権または使用権の移転を意味する。 第四条 国内で発生する課税取引とは、以下の状況を指す。 (一)物品販売の場合、物品の出発地または所在地が国内にあること。 (二)不動産の譲渡または賃貸、天然資源の使用権を譲渡する場合、当該不動産、天然資源の所在地が国内にあること。 (三)金融商品を販売する場合、金融商品が国内で交付される、または販売者が国内の法人または個人であること。 (四)本条(二)、(三)に規定する場合を除き、サービス、無形資産を販売する場合、サービス、無形資産が国内で消費される、または販売者が国内の法人または個人であること。 第五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その取引は課税取引とみなされ、本法の規定に従って増値を納付しなければならない。 (一) 法人または個人事業主が自ら生産した物品またはその加工を委託した物品を、集団での福利厚生または個人消費のために使用すること。 (二) 法人および個人事業主による物品の無償譲渡。 (三) 法人および個人による無形資産、不動産または金融商品の無償譲渡。 第六条 以下のいずれかの状況に該当する場合、取引は課税取引とはみなされず、増値税は徴収されない。 (一) 従業員が、雇用先または雇用主から賃金や給与を得るために提供するサービス。 (二) 行政手数料および政府基金。 (三) 法律の規程に基づき収用または徴用されたことにより取得した補償金。 (四) 預金による利息収入。 第七条 増値税は外税であり、課税取引の売上高には増値税額を含めない。増値税額は国務院の規定に基づき取引証憑に区分して記載しなければならない。 第八条 納税義務者が課税取引を行う場合、本法に別段の規定がない限り、納税義務者は一般税額計算方法、すなわち、売上増値税額から仕入増値税額を差し引いて納付すべき増値税額を計算し納付しなければならない。 小規模納税者は、売上高と徴税率に基づいて納付すべき税額を計算する簡易税額計算方法により増値税額を計算し納付することができる。 中外合作による海洋石油、天然ガス等の開発にかかわる増値税の税額計算方法は、国務院の関連規定に従って実施する。 第九条 本法が定義する小規模納税者とは、年間における課税対象増値税売上高が500万元未満の納税者を指す。 小規模納税者が健全な会計計算能力を有し、正確な税務書類を提出できる場合、管轄税務当局に登記することで、本法が規定する一般税額計算方法に基づき増値税を計算し納付することができる。 国民経済および社会発展のニーズに応じて、国務院は小規模納税者の基準を調整し、全国人民代表大会常務委員会に記録のため報告することができる。 第2章 税率 第十条 増値税率 (一)物品販売、加工修理サービス、有形動産リースサービス、輸入を行う場合、本条(二)、(四)、(五)に規定する場合を除き、税率は13%とする。 (二) 運輸、郵便、基礎電気通信、建設、不動産賃貸サービス、不動産販売、土地使用権の譲渡、販売または下記物品の輸入を行う場合、本条(四)および(五)に規定する場合を除き、税率は9%とする。 1. 農産物、食用油、食用塩 2. 自家用水道水、暖房、空調、温水、ガス、液化石油ガス、天然ガス、ジメチルエーテル、バイオガス、および家庭用石炭製品 3. 書籍、新聞、雑誌、オーディオビジュアル製品、電子出版物 4. 飼料、肥料、農薬、農業用機械、農業用フィルム (三) 納税者がサービス販売、無形資産を譲渡する場合、本条の(一)、(二)、(五)に規定する場合を除き、6%とする。 (四)輸出に対する税率は、国務院が別途規定する場合を除き、0%とする。 (五) 国内の法人および個人が国境を越えて国務院が規定する範囲内のサービス、無形資産を販売する場合、税率は0%とする。 第十一条 簡易税額計算方法を用いて増値税の計算および納付をする場合、徴税率は3%とする。 第十二条 納税者が二種類以上の課税取引を行い異なる税率、徴税率が適用される場合、異なる税率、徴税率を適用して売上高を区分して計算しなければならない。区分して計算しない場合、高い方の税率が適用される。 第十三条 納税者が一つの課税取引において二種類以上の税率、徴税率が適用される場合、その課税取引の主たる事業に基づき税率、徴税率が適用される。 第3章 納付すべき税額 第十四条 一般税額計算方法に基づき増値税額を計算し納付する場合、納付すべき税額は、当期の売上増値税額から当期の仕入税額を差し引いた残額とする。 簡易税額計算方式により増値税額を計算し納付する場合は、納付すべき税額は、当期売上高に徴税率を乗じた額とする。 物品輸入については、本法で規定された課税価格に適用税率を乗じて増値税額が計算する。ここでいう課税価格とは、通関価格に関税および消費税を加えたものである。国務院が他の規定を定めている場合は、そちらが優先される。 第十五条 国外の法人および個人が国内で課税取引を行う場合、購入者が源泉徴収義務者となる。ただし国務院の規定に基づき国内代理人に税務申告と納税を委託する場合を除く。 源泉徴収義務者が本法の規定に従って税金を源泉徴収し納付する場合、売上高に税率を乗じて源泉徴収すべき税額を算出する。 第十六条 売上増値税額とは、納税者が課税取引を行う際に、売上高に本法で規定された税率を乗じて算出される増値税額を指す。 仕入増値税額とは、納税者が物品、サービス、無形資産、不動産を購入する際に支払った、または負担した増値税額を指す。 納税者は法律、行政法規または国務院が規定する増値税控除証憑に基づいて売上増値税額から仕入増値税額を控除しなければならない。 第十七条 売上高とは、納税者が課税取引の発生により、これと関連して取得した価格を指し、貨幣および非貨幣形態の経済的利益に相当する全額を含み、一般税額計算方法により計算された売上増値税額および簡易税額計算方法により計算された納付すべき税額は含まれない。 第十八条 売上高は人民元で計算する。納税者が人民元以外の通貨で売上高を処理する場合は、人民元に換算して計算しなければならない。 第十九条 本法第五条に規定するみなし課税取引が発生し、さらにその売上高が非貨幣形態である場合、納税者は時価に基づいて売上高を確定しなければならない。 第二十条 売上高が通常よりも著しく低いまたは大きく、かつ合理的な説明がない場合、税務当局は「中華人民共和国徴税管理法」および関連する行政法規の規定に従って売上高を確定することができる。 第二十一条 当期の仕入増値税額が当期の売上増値税額を上回る場合、納税者は国務院の規定に基づき超過額を次期に繰り越して控除を継続するか、または還付を申請することができる。 第二十二条 納税者の以下の仕入増値税額は、その売上増値税額から控除してはならない。 (一)簡易税額計算方法を適用して計算される仕入増値税額。 (二)増値税の免税品目に対応する仕入増値税額。 (三)非正常損失項目に対応する仕入増値税額。 (四)集団での福利厚生または個人消費のために購入および消費された物品、サービス、無形資産、不動産に対応する仕入増値税額。 (五)購入および直接消費された飲食サービス、住民向け日常サービス、娯楽サービスに対応する仕入増値税額。 (六)国務院が規定するその他の仕入増値税額。 第4章 優遇税制 第二十三条 小規模納税者の場合、課税取引の売上高が基準額を下回る場合は増値税が免除される。売上高が基準額を上回る場合は、本法の規定に従って増値税を全額納付しなければならない。 前項で規定された基準額は、国務院が規定し、全国人民代表大会常務委員会に記録として報告する。 第二十四条 次の項目は、増値税が免除される。 (一)農業従事者が自ら生産した農産物を販売すること、農業の機械、灌漑排水、病虫害防除、植物保護、農業および畜産の保険および関連技術研修サービス、家禽、家畜、水産動物の飼育および疾病予防。 (二)医療機関が提供する医療サービス。 (三)古書、自然人が自ら使用した物品を販売すること。 (四)科学研究、科学実験、教育に直接使用する輸入機器および設備。 (五)外国政府、国際組織が無償で援助する輸入物資および設備。 (六)障害者団体が障害者の専用に供するため直接輸入する物品、障害者個人が提供するサービス。 (七)保育所、幼稚園、高齢者介護施設、障害者サービス施設が提供する託児サービス、結婚紹介サービス、葬儀および埋葬サービス。 (八)学校が提供する学術教育サービス、勤労学生が提供するサービス。 (九)記念館、博物館、文化センター、文化財保護機関、美術館、展示会、書画学院、図書館で開催される文化イベントのチケット収入、宗教施設で開催される文化、宗教イベントのチケット収入。 前項で規定された免税対象の具体的な基準は、国務院が規定する。 第二十五条 国民経済および社会発展のニーズに応じて、国務院は小規模・小規模企業の発展支援、重点産業の支援、イノベーションやスタートアップ起業や雇用の奨励、公共事業への寄付などを目的とした専用の優遇税制を制定することができ、全国人民代表大会常務委員会に記録として報告する。 国務院は、増値税の優遇税制の評価と調整を適時に行わなければならない。 第二十六条 納税者が増値税優遇税制の項目に従事する場合、増値税優遇税制の項目の売上高は個別に計算しなければならない。個別に計算していない場合は、優遇税制を適用してはならない。 第二十七条 納税者は増値税の優遇税制を放棄することができる。優遇税制を放棄する場合、36ヶ月間、優遇税制を享受できない。ただし、小規模納税者はこの限りではない。 第5章 徴収および管理 第二十八条 増値税の納税義務の発生時期は、次の各規定により確定する。 (一)課税取引が発生した場合、納税義務の発生時期は、売上代金の受領日または売上代金に紐づけされる証憑の取得日とする。ただし、先に発票を発行している場合は、その発行日とする。 (二)みなし課税取引が発生した場合、納税義務の発生時期は、みなし課税取引が完了した日とする。 (三)輸入品の場合、納税義務の発生時期は、その輸入品が輸入申告された日とする。 増値税の源泉徴収義務の発生時期は、納税義務者の増値税の納付義務が発生した日とする。 第二十九条 増値税の納付地は、以下の規定に従って決定される。 (一)生産および営業の固定拠点を置く納税者は、その機関の所在地または居住地を管轄する税務当局に税務申告を行わなければならない。本社と支店が同じ県(市)内にない場合、本社と支店はそれぞれが所在する管轄税務当局に税務申告を行わなければならない。省レベル以上の財政および税務当局の承認を得た場合、本社は本社所在地の管轄税務当局に合算して税務申告を行うことができる。 (二)生産および営業の固定拠点を設置していない納税者は、課税取引が発生した場所を管轄する税務当局に税務申告しなければならない。税務申告が未申告の場合、その機関の所在地または居住地の管轄税務当局が未納税額を徴収する。 (三)自然人が不動産を販売または賃貸し、天然資源の使用権を譲渡し、または建設サービスを提供する場合には、不動産の所在地、天然資源の所在地、建設サービスの発生地を管轄する税務当局に税務申告しなければならない。 (四) 輸入品の納税者は、税関が規定する場所で税務申告しなければならない。 (五) 源泉徴収義務者は、その機関の所在地または居住地の管轄税務当局に源泉徴収税を税務申告しなければならない。機関の所在地または居住地が国外にある場合、課税取引の発生地の管轄税務当局に源泉徴収税を税務申告しなければならない。 第三十条 増値税の課税期間は、10日、15日、1ヶ月、または1四半期とする。納税者の具体的な課税期間は、納税者の納付すべき税額の多寡に応じて管轄税務当局が決定する。課税取引を頻繁に行わない納税者は、その都度納税することができる。 納税期間を1か月または四半期とする納税者は、その期間の終了後15日以内に税務申告を行う。課税期間が10日または15日の場合、翌月の初日から15日以内に税務申告を行う。 源泉徴収義務者が税金を納付する課税期間および税務申告の期限は、前二項の規定に従って実施される。 輸入品の納税者は、税関が規定する期限内に税務申告をしなければならない。 第三十一条 納税義務者が十日または十五日を課税期間とする場合には、納税義務者は、その期間の終了日の翌日から五日以内に、その期間の税金を予納しなければならない。 法律、行政法規に納税者の予納に関するその他の規定がある場合、その規定が優先される。 第三十二条 増値税は税務当局が徴収し、輸入品にかかる増値税は税関が税務当局に代わって徴収する。 税関は、増値税の代理徴収および商品の輸出申告に関する情報を税務当局に提供しなければならない。 個人による携帯または郵送による個人輸入品に対する増値税の徴収方法は、国務院が策定し、全国人民代表大会常務委員会に記録として報告する。 第三十三条 納税者が物品を輸出またはサービス、無形資産を国境を越えて販売し、ゼロ税率が適用される場合、納税者は管轄税務当局に税還付(免税)を申請しなければならない。輸出税還付(免税)に関する具体的な措置は国務院が制定する。 第三十四条 納税者は、法律に従って増値税発票を発行および使用しなければならない。増値税の発票には、紙の発票と電子発票が含まれる。電子発票は紙の発票と同等の法的効力を有する。 国家は電子発票の使用を積極的に推進する。 第三十五条 税務当局と工業および情報化、公安、税関、市場監督管理局、中国人民銀行、金融監督管理などの部門と増値税に関する情報共有の仕組みと協力体制を構築しなければならない。 関連部門は、法律、行政法規に基づき、それぞれ職責を負う範囲内で、税務機関の増値税の徴収管理業務を支援、協力しなければならない。 第三十六条 増値税の徴収管理は、本法および「中華人民共和国徴収管理法」に関する法律の規定に従って実施する。 第三十七条 納税者、源泉徴収義務者、税務当局およびその職員が本法の規定に違反した場合は、「中華人民共和国徴収管理法」およびその他の関連法規、行政法規の規定に従って法的責任を問われる。 第6章 附則 第三十八条 本法は2026年1月1日に施行する。「中華人民共和国増値税暫定条例」は同時に廃止する。 【顧問サービスのご案内】 弊社では各種顧問サービスを提供しております。 ●月次での記帳代行 ●毎月記帳証票と会計データを日本事務所に郵送して頂き、日本事務所内でのチェック ●弊社日本人担当者が3か月に1回訪中し、顧問先様の社内での記帳証票等の往査 顧問先様のご要望にあわせてサービス内容を柔軟にカスタマイズいたします。
- 【企業所得税】繰越欠損金に関して
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 【企業所得税】繰越欠損金に関して 中国の繰越欠損金に関して、上海市税務総局がQ&A形式で解説しています。企業所得税の確定申告書の別表や四半期申告での取り扱いまで多岐にわたり、繰越欠損金を理解するために重要な情報が満載です。ぜひご覧ください! 目次: Q1:繰越欠損金とは、何ですか? Q2:企業所得税の四半期申告において、繰越欠損金との相殺はできますか? Q3:設立準備期間を赤字年度として扱うことができますか? Q4:企業が清算する場合、繰越欠損金を使用することはできますか? Q5:税務当局が企業の過年度納税状況を調査した際に、加算調整された課税所得の増加分を繰越欠損金と相殺することはできますか? Q1:繰越欠損金とは、何ですか? A:まずは税務上の損失から解説します。税務上の損失とは、「企業所得税実施条例」第10条によると、事業年度の収入総額から不課税収入、免税収入および各種控除項目を差し引いた後の課税所得がゼロより小さい(マイナスとなる)金額であることを言います。 税務上の損失は、その発生年度の翌期以降に課税所得が生じた場合に、課税所得と相殺することで課税所得を減額できます。この相殺できる期間を繰越期間と呼び、また繰越される税務上の損失を繰越欠損金と呼びます。 (※中国の繰越欠損金と繰越期間に関する記事 はこちら) さて中国では、税務上の損失が生じた場合または課税所得と相殺する場合、企業所得税の確定申告において、別表の「企業所得税繰越欠損金明細書」(A106000)を作成する必要があります。これより当該別表は税務上の損失の発生や相殺を一元管理する資料にもなっています。 なお、当該別表を作成する際は、「損失は発生年度順に記載し、利益が生じた年は先に発生した損失から相殺する」という原則に従って作成します。 Q2: 企業所得税の四半期申告において、繰越欠損金との相殺はできますか? A:企業所得税の四半期申告までに、前年度の確定申告をすでに完了している場合は、前年度までに生じた繰越欠損金との相殺ができます。 相殺する際は、四半期申告書の第9行目「控除:前年度までの欠損金」の欄に対象の金額を記入する必要があります。(下記画像の赤枠) (MTAC加筆)実務上は、企業所得税の四半期申告までに前年度の確定申告が完了していない場合、四半期申告書の第9行目「控除:前年度までの欠損金」の欄に対象の金額は表示されません。通常、各種申告書の作成は税務当局が一元管理するオンライン税務局で行いますので、前年度の確定申告が完了していれば、その内容は四半期申告書にも反映されます。 Q3:設立準備期間を赤字年度として扱うことができますか? A:生産または業務を開始した年が、その企業にとっての損益計算の開始年です。生産または業務を開始する前の準備期間に発生した費用は、当期の損失として計上はできません。企業は、生産または業務を開始した年にそれらを一括で控除するか、または長期前払費用として少なくとも3年間を下回らない期間で償却できます。 根拠規定: 企業所得税に関する若干の課税問題の実施に関する国家税務総局の通知(国税函[2010]79号) Q4:企業が清算する場合、繰越欠損金を使用することはできますか? A:企業が清算する場合、前年度までに生じた繰越欠損金との相殺ができます。 根拠規定: 企業の清算における企業所得税の処理に関する若干の問題に関する財政部国家税務総局の通知(財税[2009]60号) Q5:税務当局が企業の過年度納税状況を調査した際に、加算調整された課税所得の増加分を繰越欠損金と相殺することはできますか? A:税務当局が企業の過年度の納税状況を調査した結果として課税所得が加算調整された場合、その企業の繰越欠損金について、企業所得税法に基づいて相殺することが認められる場合には、加算調整された課税所得をその繰越欠損金で相殺できます。繰越欠損金と相殺した後に、なおも課税所得が残っている場合は、企業所得税法の規定に基づき企業所得税額を計算し納付する必要があります。 根拠規定: 過年度欠損金を調査により加算調整された課税所得により充当する処理に関する国家税務総局の公告(国家税務総局公告2010年第20号) MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 【企業所得税】事業年度の納付すべき税額の計算(2024年度版)
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは、中国における会計・税務・労務に関する規定や実務について、わかりやすく解説しております。 本ブログの情報が、皆さまの中国子会社における財務面のご支援や、中国市場での販路拡大のお役に立てれば幸いです。 中国では、日本の法人税に相当する税金を「企業所得税」と呼びます。中国においても日本と同様に、法人には事業年度ごとの決算が義務付けられており、それに基づき企業所得税の確定申告を行う必要があります。 本ページでは、企業所得税の税額算出方法について詳しく解説しています。詳細については以下をご覧ください。 目次: 1.法人に課される税(「企業所得税」)の確定申告 2.納付すべき企業所得税額の計算 3.2024年度の優遇税制について 1.法人に課される税(「企業所得税」)の確定申告 中国では、日本の法人税に相当する税金を「企業所得税」と呼びます。中国においても日本と同様に、法人には事業年度ごとの決算が義務付けられており、それに基づき企業所得税の確定申告を行う必要があります。 企業所得税の確定申告の概要 企業所得税の確定申告とは、納税義務者が、事業年度終了日の翌日から5カ月以内、または実質的な事業終了日から60日以内に、企業所得税に関する法律・規定・規則およびその他の関連規定に従って、当該年度の課税所得額および納付すべき企業所得税額を計算し、確定申告書を作成・提出する手続きです。 一般的に、継続して事業を行っている企業においては、申告および納税の期限は翌年の5月末までとされています。 2.納付すべき企業所得税額の計算 課税所得額の計算と企業所得税額の確定 2024年度の確定申告書の主表のうち一部の項目を省略しています。 上表のE欄 課税所得額とは、税前利益を基準とし、「課税所得額調整表」に記載された加算調整項目および減算調整項目に基づき、それぞれ加算・減算を行った上で、繰越欠損金を控除した後の金額を指します(上表のE欄)。 ※「課税所得額調整表」について 「課税所得額調整表」とは、中国現地法人が会計上、費用または損失として処理した税前利益に対し、企業所得税法の規定に基づいて、損金として認められない費用や益金として課税対象となる項目を加味し、加算・減算調整を行うことで「課税所得額」を算出する明細書です。 これは、日本の法人税確定申告書における「別表四(所得の金額の計算に関する明細書)」に相当するものと考えられます。 なお、この明細書は、会計監査を担当する会計師事務所によっては、監査報告書の一部として発行される場合もあります。 上表のI欄 課税所得額が算出された後、その金額に企業所得税率を乗じて、企業所得税額を算出します。 近年、中国では企業所得税に関する各種の減税政策が実施されており、対象となる企業は、当該事業年度に適用される政策に基づいて減税額を計算します。算出された企業所得税額からこの減税額を控除した金額が、その年度に実際に納付すべき企業所得税額となります(上表のI欄)。 上表のK欄 当該事業年度の納付すべき企業所得税額から、月次または四半期ごとに申告・納付した仮納付分を差し引いた結果、差額がプラスであれば追納が必要となり、マイナスであれば還付を受けることができます(上表のK欄)。 なお、補足情報としてお伝えすると、2023年には、課税所得額が100万元以内の企業に対して適用されていた2.5%の企業所得税率による大幅な減税政策が廃止されました。 その代替措置とも言える形で、課税所得額が300万元以内の企業に対して5%の企業所得税率が適用される新たな減税政策が導入されています(詳細は以下参照)。 3.2024年度の優遇税制について (1)対象となる企業 下記の4つの要件をすべて満たしている企業です。 前提として、そのような企業を中国では「小規模企業(中国語:小型微利企業)」と呼んでおり、中小企業といったところです。 4つの要件とは? ① 国家が制限や禁止をしている事業に従事していないこと。 ② 年間の課税所得額が300万元以下であること。 ③ 従業員数が300人以下であること。 ④ 資産総額が5,000万元以下であること。 (2)対象期間と年間の課税所得額の範囲と企業所得税率 【対象期間】 2023年1月1日から2027年12月31日までの5年間 【年間の課税所得額の範囲】300万元以下 【企業所得税率】 企業所得税率は5% MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 【附加税】都市維持建設税、教育費附加、地方教育費附加の減税期間延長
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少し でも役立つようでしたら幸いです。 【附加税】都市維持建設税、教育費附加、地方教育費附加の減税期間延長 2023年8月2日に、増値税小規模納税者、小規模企業、個人事業主に対して、『6税目、2費用』の減税期間を延長する発表がありました。『6税目、2費用』のうち、 都市維持建設税、教育費附加、地方教育費附加は増値税額をベースに課される税金であり、また印紙税は課税文書の対象範囲が幅広いため、減税期間の延長は多少なりとも対象者にとってプラスに働くのではないでしょうか。 旧規定 (財政部税務総局公告2022年第10号)との比較表も掲載していますので、ぜひご覧ください。 目次: ①対象者 ②対象の税目と費用 ③対象期間 ④比較表 ①対象者 今回の規定の対象者は以下の通りです。今回の規定は、旧規定 の延長にあたるためか特に変化はありません。 増値税小規模納税者(中国語で、増値税小規模納税人) 小規模企業(中国語で、小型微利企業) 個人事業主(中国語で、個体工商戸) ②対象の税目と費用 今回の規定の対象となる税目と費用は以下の通りです。新規定では、資源税に「水資源税を除く」とかっこ書きで明記された以外は、特に 変化ありません。 【税目】 資源税 (水資源税を除く) 都市維持建設税 固定資産税 都市土地使用税 印紙税(証券取引に係る印紙税を除く) 耕地占有税 【費用】 教育費附加 地方教育費附加 ③対象期間 今回の規定の対象期間は以下の通りです。 2023年1月1日から2027年12月31日まで ④比較表 旧規定と新規定との比較表です。旧規定では減税の対象範囲を50%の範囲内としていることに対して、新規定では半減して徴収すると明記しています。 旧規定(廃止) 新規定 変更点 財政部税務総局公告2022年第10号 財政部税務総局公告2023年第12号 対象期間 2022年1月1日から2024年12月31日まで 2023年1月1日から2027年12月31日まで 対象の税目と費用(新規定は、水資源税を除くことを明記) 【税目】 資源税 都市維持建設税 固定資産税 都市土地使用税 印紙税(証券取引に係る印紙税を除く) 耕地占有税 【費用】 教育費附加 地方教育費附加 【税目】 資源税 (水資源税を除く) 都市維持建設税 固定資産税 都市土地使用税 印紙税(証券取引に係る印紙税を除く) 耕地占有税 【費用】 教育費附加 地方教育費附加 減税の対象範囲 省、自治区、直轄市の人民政府は、それぞれの地域の実情とマクロ経済の調整の必要性に応じて、増値税小規模納税者、小規模企業や個人事業主に対して、資源税、都市維持建設税、固定資産税、都市土地使用税、印紙税(証券取引に係る印紙税を除く)、耕地占有税、教育費附加、地方教育費附加を50%の範囲内で減税できることを確定する。 半減して徴収する MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 【増値税】電子発票の発行可能額の増額申請
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 目次 1.システムによる発行可能額の増額調整 2.企業や個人による税務局での増額申請 3.システムによる発行可能額の減額調整 4.その他の新しい規定 そもそも、発票の発行可能額は企業や個人が自ら設定することはできず、税務局がその実績や納税信用ランクに基づいて設定し、一度設定されると月単位で維持されます。 このように、発票の発行額が月単位で設定されているため、売上が大幅に増加した月には、発行可能額が予定していた発行額に達せず、不足する事態が生じる可能性があります。 税務局はこのような事態を想定し、システム上で自動的に解決できるよう、いくつかの対応措置を講じています。 しかし、実際の運用状況を考慮すると、システム上での自動解決よりも、企業や個人が管轄税務局に対して発行可能額の増額を申請するケースが多く見受けられます。 また、新しい規定により、発票の発行額が基準に達しない場合、発行可能額が自動的に減額されるようになりました。発票の発行は企業や個人の納税者に直接的な影響を与えるため、発行可能額を把握し、発行可能額を超えた発行方法について理解しておくことが重要です。 それでは、発票の発行可能額や増額申請の手続きについて、以下の内容を見ていきましょう! 1.システムによる発行可能額の増額調整 (1)月初における発行可能額の自動調整 システムは自動的に、毎月初めに納税者の発票発行可能額を調整します。 (2)発行可能額の一時的な調整 良好な納税信用ランクを有する納税者が当月発票を発行し、その発行額が発行可能額の一定割合に達した場合、システムは自動的にその納税者の当月の発行可能額を一時的に増額します。 【例①】 甲社の発行可能額は800万元です。2024年6月中旬に700万元分を発行したことにより、当月の発行可能額の一定割合に達したため、システムは自動的にリスクチェックを発動しました。 リスクチェックの結果、問題なしと判断されたため、当月の発行可能額は一時的に900万元に増額されました。 【例②】 乙社の発行可能額は800万元です。2024年6月中旬に750万元分を発行し、当月の発行可能額の一定割合に達したものの、 システムによる一時的な増額は行われませんでした。 ※システムが増額を行わない場合もあります。その場合は、下記の「2.企業や個人による税務局での増額申請」をご参照ください。 (3)発行可能額の定期的な調整 システムは、納税者の実績や各月の発票の発行状況など、さまざまな要因に基づいて当月の発行可能額を自動的に調整します。 【例③】 丙社の発行可能額は750万元です。2024年7月から12月までの各月の発行額がいずれも750万元を超えたため、システムは自動的に丙社の実際の経営状況および 直近6ヶ月間の発行額を基に 、2025年1月1日に発行可能額を840万元に増額しました。 2.企業や個人による税務局での増額申請 売上高の大幅な増加により、発行可能額を大幅に超える発票を発行することになった場合、企業や個人の納税者は、管轄税務局に発行可能額の増額を申請できます。管轄税務局は、申請内容に問題がないことを確認した後、納税者の申請に基づき、発行可能額を一時的に増額します。 【例④】 A社は2024年7月初めの発行可能額が750万元でした。売上が大幅に増加したため、7月は1,200万元分の発行が必要となりました。 システムは自動的に発行可能額を900万元まで増額しましたが、それでも不足していたため、A社は管轄税務局に当月の発行可能額を1,200万元に増額する申請を行いました。 管轄税務局は申請内容に問題がないことを確認した後、A社の当月の発行可能額を1,200万元に増額しました。 ※管轄税務局での増額申請手続きについて 納税者は税務局のプラットフォームを通じて増額申請を行います。申請時には、申請理由を記載した状況説明書と、 根拠となる書類(例:売買契約書、固定資産台帳、その他関連資料) を添付する必要があります。 (※これは上海市の場合です。各地域によって申請方法が異なることがあるため、詳細については管轄税務局に確認してください。) 根拠となる書類(例:売買契約書、固定資産台帳、その他関連資料) 根拠となる書類(例:売買契約書、固定資産台帳、その他関連資料) 3.システムによる発行可能額の減額調整 納税者の直近12ヶ月間の発票発行額が発行可能額の80%に達しない場合、発行可能額は、直近12ヶ月間の発行額のうち最も大きい金額に基づき、自動的に減額されます。 【例⑤】 B社の発行可能額は40万元でした。直近12ヶ月間の発行額は32万元に達せず、最も大きな発行額は10万元だったため、発行可能額は自動的に10万元に減額されました。 ※この規定は税務局から直接公表されたものではなく、報道機関や税務の専門機関による情報に基づいています。電子発票の全国展開は最近(2024年12月)に始まったため、状況に応じて規定が変更される可能性があります。 4.その他の新しい規定 ① 納税者が連続12ヶ月間にわたり発票を発行していない場合、発行可能額は0元に減額されます。 ② 納税者が長期にわたり税金を滞納している場合、システムは自動的に発行可能額を0元に減額します。 ③ 企業が発票を半年以上発行していない場合、既存の発行可能額が50万元以上であれば、1~10万元に減額されます。 ④ 納税者の仕入と売上が一致しない場合、発票の不正使用を防止し、仕入と売上のデータが正確に一致することを担保するため、その初月の発行可能額は5,000元に設定されます。 ※この規定は税務局から直接公表されたものではなく、報道機関や税務の専門機関による情報に基づいています。電子発票の全国展開は最近(2024年12月)に始まったため、状況に応じて規定が変更される可能性があります。 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 【増値税】電子発票の発行可能額の増額申請(申請のフロー)
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。 当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。 当ブログが、皆さまの中国子会社の財務面のサポートに繋がったり、また中国での販路拡大に少しでも役立つようでしたら幸いです。 前回、電子増値税発票の発行可能額の増額申請についてご案内させていただきました。 提出物の根拠となる資料のうち、売買契約書(またはそれに相当する資料)については、財務担当者だけでなく、他の部署、特に営業担当者にも関係する事項であるため、社内での連携が一層重要になるかと思います。 本解説は実務に即した内容となっておりますので、皆様の業務に少しでもお役立ていただければ幸いです。 目次: 【①オンライン税務局(電子税務局)のトップ画面】 【②ログイン後、増額申請ページへ】 【③申請事由などを記入】 【④売買契約書(または相当資料)の内容を入力】 【⑤税務局へ申請を提出】 【①オンライン税務局(電子税務局)のトップ画面】 まずはこちらが、オンライン税務局(電子税務局)のトップページです。画面上には、中国らしく万里の長城が印象的に表示されています。 ログイン方法はいくつかありますが、弊社では「専用のUSBキー」を使用してアクセスしています。 【①オンライン税務局(電子税務局)のトップ画面】 【②ログイン後、増額申請ページへ】 ログイン後は、電子増値税発票の発行可能額の増額申請ページへ進みます。 企業や個人がこの増額申請を行う際には、根拠となる資料の提出(アップロード)が必要です。 そのため、申請前に以下の資料をあらかじめご準備ください。 売買契約書(またはそれに相当する資料) 固定資産台帳 その他関連資料 特に売買契約書(または相当資料)は、契約当事者双方の押印が必須です。 この押印は、会社印(公章)に限らず、契約書専用の印(中国語では「合同印」)でも有効とされています。 【②ログイン後、増額申請ページへ】 【②ログイン後、増額申請ページへ】 【③申請事由などを記入】 続いて、有効期間の選択や申請事由の入力を行います。 申請日は基本的に「本日」となり、その日が有効期間の開始日となります。 有効期間は「短期」または「長期」から選択できますが、実務上は短期の方が承認されやすい傾向があります。短期を選択した場合、有効期間の終了日は同月末日となります。 次に、申請事由の欄には、発票発行額を増額する具体的な理由を記載します。 たとえば、「大型取引に伴い発票発行額が上限に達したため」など、明確で妥当な内容を入力することが望まれます。 【③申請事由などを記入】 【③申請事由などを記入】 【④売買契約書(または相当資料)の内容を入力】 続いて、売買契約書(またはそれに相当する資料)を提出する際には、その内容に基づき、以下の情報を入力します。 契約の相手方企業名 契約の内容(商品・サービスの詳細) 契約金額 など これらの情報は、税務局による審査の対象となります。 したがって、契約書に記載された内容と完全に一致する情報を正確に入力する必要があります。 誤った内容や契約書と食い違う情報を入力すると、申請が却下される可能性があるため、十分にご注意ください。 【④売買契約書(または相当資料)の内容を入力】 【⑤税務局へ申請を提出】 すべての必要事項を入力・確認したら、税務局に対して申請情報を送信します。これで増額申請の手続きは完了です。 申請後、通常は数日以内に、税務局から「承認」または「否認」の通知が届きます。 なお、申請内容や添付資料に不備がある場合は否認される可能性もありますので、余裕をもって早めの申請をおすすめいたします。 MTACではクライアント様のご要望によりそった様々なサービスを提供しております。 ● 月次サービス記帳代行 ●月次の帳簿チェック ●中国子会社の法人設立、登記変更、撤退の手続き ●日本語、中国語の翻訳サービス ●中国会計税務に関するご相談サービス まずはお気軽に、ご相談ください。(日本語、中国語どちらでもOK)
- 中国会計・税務に関するご相談サービス
中国会計・税務に関するご相談サービス お客様からいただいたご相談事例と感謝の声 ✅これまでに寄せられたご相談内容(一例) 中国子会社の撤退に伴う清算と税務処理について 中国国外への送金に伴う税務上の留意点(配当金・ロイヤルティ等) 中国現地での発票(領収書)の扱いとその会計処理方法 増値税・企業所得税における税法と実務の乖離について 中国駐在員への給与支給と個人所得税の対応 中国子会社の法人代表者や住所変更などの登記変更に関する手続き ✅ お客様の声 💬 東京都・貿易会社様 「中国子会社の清算を進める中で、残余財産の送金の送金や税務申告に不安がありましたが、日本語でわかりやすく説明していただき、安心して進められました。」 💬 大阪府・製造業様(中国現地法人あり) 「太田さんご自身が日本の税理士法人で勤務されていたご経験もあり、日本側の会計・税務へのご理解が深く、大変助かりました。連結処理にもご配慮いただき、非常に心強く感じました。今後も継続してご相談させていただきたいと思っております。」 💬 オンライン相談ご利用のお客様(中国駐在員) 「 短時間で的確なアドバイスをいただき、中国語で現地の財務スタッフに私の代わりに伝えていただけたので、大変助かりました。 」 ✅ ご相談方法・料金のご案内 中国ビジネスに関する会計・税務のご相談は、オンラインで随時受け付けております。 「こんなこと聞いていいのかな…」という内容でも、お気軽にご相談ください。 所要時間:約1時間 (オンライン対応) 料金:8,800円(税込)/500元(増値税含む) 対応言語:日本語・中国語 また、 初回20分は無料相談を実施中 です。まずはお気軽にお申し込みください。 👉 [ご予約はこちら] MTACでは、クライアントの皆さまのご要望に寄り添い、さまざまなサービスを提供しております。 月次記帳代行サービス 月次帳簿のチェック 中国子会社の法人設立・登記変更・撤退手続きのサポート 日本語・中国語の翻訳サービス 中国における会計・税務に関するご相談サービス まずはお気軽にご相談ください。 日本語・中国語のどちらにも対応しております。
- 休眠会社向け月次会計サービス(記帳代行)
弊社・上海MTAC企業管理諮詢有限公司では、稼働中の上海子会社様はもちろん、休眠中の子会社様にもご利用いただける記帳代行サービスをご用意しております。どうぞお気軽にお問い合わせください。 弊社・上海MTAC企業管理諮詢有限公司では、稼働中の上海子会社様および休眠中の上海子会社様を対象に、 記帳代行サービスを提供しております。 中国子会社を「無人で」維持するには? 〜ノンプレゼンス維持パッケージ(月額3,000元〜)〜 海外子会社の休眠状態に関するお悩み、ありませんか? 中国子会社の営業活動を一時停止したものの、会社を閉鎖せずに最低限の形で維持したい――。そんなご要望に応えるのが、当社の「ノンプレゼンス維持パッケージ」です。 上海に常駐スタッフを置かず、日本本社主導で子会社を管理。税務署・銀行・郵便対応も含め、会計税務の申告義務を確実に果たしながら、コストを最小限に抑えます。月額3,000元(税込)からご提供しております。 📌サービス内容 🧾 基本サービス(すべてのご契約企業様に共通) 月次記帳代行 月次税務申告代行(個人所得税・増値税・附加税) 企業所得税の四半期申告 中国語の財務諸表(貸借対照表・損益計算書)作成および税務局への提出 日本語の財務諸表(貸借対照表、損益計算書、各種費用明細、試算表、推移表)の作成 中国の会計・税務に関するコンサルティング 決算対策(期末前に上海子会社様または日本親会社様を訪問) 日本親会社の顧問税理士様への説明代行 ※上記1~8のすべてのサービスを含みます。 ※2には「輸出増値税の還付申請」は含まれておりません。 ※対応地域は上海市に限ります。 📨 ノンプレゼンス維持プランに特化したサービス 郵便物の受取・転送 現地取引先、当局、銀行への対応 (必要に応じて) 上記2項目は、現地に常駐スタッフを置かない「ノンプレゼンス運営」を支援するための特化サービスです。 また日本本社が主導して会計・税務対応を行う場合、恒久的施設(PE)と見なされないよう、運用や契約設計に工夫が必要です。本サービスでは、契約内容や実務運用においてPEリスクの発生を極力抑える構造・仕組みを採用しております。 💰料金プランのご案内 月額 約3,000元(増値税込)〜 MTACでは、クライアントの皆さまのご要望に寄り添い、さまざまなサービスを提供しております。 月次記帳代行サービス 月次帳簿のチェック 中国子会社の法人設立・登記変更・撤退手続きのサポート 日本語・中国語の翻訳サービス 中国における会計・税務に関するご相談サービス まずはお気軽にご相談ください。 日本語・中国語のどちらにも対応しております。
- 【個人所得税、増値税】学生インターンの個人所得税と増値税の取扱いまとめ【中国実務】
こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。 このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。 中国でインターンシップを導入・活用する企業にとって、 報酬の支払い方法や税務上の取り扱い は、制度的な理解が欠かせない実務テーマです。 前回 は、在校生への報酬に対する個人所得税の取り扱い(労務報酬 vs 累計控除方式)について解説しました。今回は、 そもそも中国で「インターンシップ」とは何を意味するのか? という制度的な整理と、そこから導かれる実務対応をまとめます。 目次: ✅ 1.中国におけるインターンシップの基本的な定義 ✨ 2.実務対応上のポイント:税務の視点 📝 3.まとめ ✅ 1.中国におけるインターンシップの基本的な定義 中国では、「インターンシップ(实习)」は、大きく以下の2種類に分類されます: 🔹 1. 学校側の管理体系に組み込まれたインターンシップ (細かな手続きや管理規定が存在) このタイプのインターンシップは、以下のような特徴があります: 学校の管理のもとで実施される 一般的には、教育活動の一環として扱われ、労働契約とはみなされない 場合によっては、学生は企業との協定書の写しを学校に提出したり、活動に伴うリスクへの理解や同意を求められたりする 🔹 2. 自主申込型(課外型)のインターンシップ 学生が企業に自主応募し、個別に実施される形式 教育目的が曖昧で、報酬が発生する場合は“労務報酬所得”として取り扱われる 👉 自主申込型(課外型)のインターンシップに関する実務上の税務取扱いについては、 こちらの解説記事 もあわせてご覧ください。 📌 関連法規と制度的根拠 《高等学校学生勤工助学管理办法》 勤工助学(学生による校内外労働活動)を 教育活動の一環 と定義 校外での活動には、学校による許可・三方協定の締結が必要な場合もある ✨ 2.実務対応上のポイント:税務の視点 ✅ 税務上の取り扱い: 学生が勤工助学活動で得た収入は、原則として 個人所得税の課税対象 です。所得の性質により「労務報酬所得」として分類され、多くの場合、支払側による代扣代缴(源泉徴収)が行われます。 報酬の支払いがある場合、 労務報酬所得として源泉徴収 が必要 在校生・全日制学生で「継続的役務」に該当すれば、累計控除方式(月5,000元控除)の適用が可能 さらに、 1回あたりの報酬が800元以下であれば、個人所得税は免税 とされるケースもあります(※課税方式や地域の運用により異なるため、事前確認が推奨されます。また、800元という金額は個人所得税に関する免税基準であり、 増値税の免税対象とは直接関係ありません ) なお、 学生による勤工助学提供の役務については、増値税は免税対象 とされています。これは、《財税〔2016〕36号》通知にも明記されており、「学生勤工俭学提供的服务」は正式に免税対象として列挙されています。学生がこのような活動で得た収入に対して発票を発行する場合も、増値税は課されず、実務上も免税として取り扱われるのが一般的です。 📝 3.まとめ 中国におけるインターンシップは、 「教育活動の一環」 として位置づけられることもあれば、 「実質的な労働」 に近い形で運用されることもあり、その線引きは必ずしも明確ではありません。そのため、制度的な理解が不十分なまま運用されると、税務上のリスクが生じる可能性があります。 📩 実務に関するご相談は、上海MTACまでお気軽にお問い合わせください。 MTACでは、クライアントの皆さまのご要望に寄り添い、さまざまなサービスを提供しております。 月次記帳代行サービス 月次帳簿のチェック 中国子会社の法人設立・登記変更・撤退手続きのサポート 日本語・中国語の翻訳サービス 中国における会計・税務に関するご相談サービス まずはお気軽にご相談ください。 日本語・中国語のどちらにも対応しております。














