【個人所得税、増値税】学生インターンの個人所得税と増値税の取扱いまとめ【中国実務】
- ohtashmtac
- 7月18日
- 読了時間: 4分
更新日:8月13日
こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。
このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。

中国でインターンシップを導入・活用する企業にとって、報酬の支払い方法や税務上の取り扱いは、制度的な理解が欠かせない実務テーマです。
前回は、在校生への報酬に対する個人所得税の取り扱い(労務報酬 vs 累計控除方式)について解説しました。今回は、そもそも中国で「インターンシップ」とは何を意味するのか? という制度的な整理と、そこから導かれる実務対応をまとめます。
目次:
✅ 1.中国におけるインターンシップの基本的な定義
✨ 2.実務対応上のポイント:税務の視点
📝 3.まとめ✅ 1.中国におけるインターンシップの基本的な定義
中国では、「インターンシップ(实习)」は、大きく以下の2種類に分類されます:
🔹 1. 学校側の管理体系に組み込まれたインターンシップ(細かな手続きや管理規定が存在)
このタイプのインターンシップは、以下のような特徴があります:
学校の管理のもとで実施される
一般的には、教育活動の一環として扱われ、労働契約とはみなされない
場合によっては、学生は企業との協定書の写しを学校に提出したり、活動に伴うリスクへの理解や同意を求められたりする
🔹 2. 自主申込型(課外型)のインターンシップ
学生が企業に自主応募し、個別に実施される形式
教育目的が曖昧で、報酬が発生する場合は“労務報酬所得”として取り扱われる
👉 自主申込型(課外型)のインターンシップに関する実務上の税務取扱いについては、こちらの解説記事もあわせてご覧ください。
📌 関連法規と制度的根拠
《高等学校学生勤工助学管理办法》
勤工助学(学生による校内外労働活動)を教育活動の一環と定義
校外での活動には、学校による許可・三方協定の締結が必要な場合もある
✨ 2.実務対応上のポイント:税務の視点
✅ 税務上の取り扱い:
学生が勤工助学活動で得た収入は、原則として個人所得税の課税対象です。所得の性質により「労務報酬所得」として分類され、多くの場合、支払側による代扣代缴(源泉徴収)が行われます。
報酬の支払いがある場合、労務報酬所得として源泉徴収が必要
在校生・全日制学生で「継続的役務」に該当すれば、累計控除方式(月5,000元控除)の適用が可能
さらに、1回あたりの報酬が800元以下であれば、個人所得税は免税とされるケースもあります(※課税方式や地域の運用により異なるため、事前確認が推奨されます。また、800元という金額は個人所得税に関する免税基準であり、増値税の免税対象とは直接関係ありません)
なお、学生による勤工助学提供の役務については、増値税は免税対象とされています。これは、《財税〔2016〕36号》通知にも明記されており、「学生勤工俭学提供的服务」は正式に免税対象として列挙されています。学生がこのような活動で得た収入に対して発票を発行する場合も、増値税は課されず、実務上も免税として取り扱われるのが一般的です。
📝 3.まとめ
中国におけるインターンシップは、「教育活動の一環」として位置づけられることもあれば、「実質的な労働」に近い形で運用されることもあり、その線引きは必ずしも明確ではありません。そのため、制度的な理解が不十分なまま運用されると、税務上のリスクが生じる可能性があります。
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