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【増値税法】中国増値税法【参考訳】

2026年1月1日から「中華人民共和国増値税法」が施行されます。本法の施行と同時に「中華人民共和国増値税暫定条例」は廃止されます。本法の主な変更点は立法趣旨に関する規定が明記されたことや規定内容が詳細化されたことです。たとえば国外納税者が中国国内で課税取引がある場合、国内代理人を選任して税務申告を行うことを認める、などの規定です。
本法の参考訳を掲載いたしますのでご参考になれば幸いです。
目次
第1章 総則
第2章 税率
第3章 納付すべき税額
第4章 優遇税制
第5章 徴収および管理
第6章 附則
第1章 総則
第一条 本法は、強化により増値税制度の高品質な発展を促進すること、増値税の徴収と納付を標準化すること、納税者の正当な権利と利益を保護することを目的として制定される。
第二条 増値税の税収業務は、党と国家の路線方針、政策、決定により実行し、国民経済と社会発展に奉仕しなければならない。
第三条 中華人民共和国の国境内(以下、国内と称する)において、物品販売、サービス提供、無形資産譲渡、不動産譲渡(以下、課税取引と称する)及び物品輸入を行う法人および個人(個人事業主を含む)は増値税の納税義務者であり、本法の規定に従って増値税を納付しなければならない。
物品販売、サービス提供、無形資産譲渡、不動産譲渡とは、有償での物品、不動産の所有権移転、有償でのサービス提供を意味し、また有償での無形資産の所有権または使用権の移転を意味する。
第四条 国内で発生する課税取引とは、以下の状況を指す。
(一)物品販売の場合、物品の出発地または所在地が国内にあること。
(二)不動産の譲渡または賃貸、天然資源の使用権を譲渡する場合、当該不動産、天然資源の所在地が国内にあること。
(三)金融商品を販売する場合、金融商品が国内で交付される、または販売者が国内の法人または個人であること。
(四)本条(二)、(三)に規定する場合を除き、サービス、無形資産を販売する場合、サービス、無形資産が国内で消費される、または販売者が国内の法人または個人であること。
第五条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その取引は課税取引とみなされ、本法の規定に従って増値を納付しなければならない。
(一) 法人または個人事業主が自ら生産した物品またはその加工を委託した物品を、集団での福利厚生または個人消費のために使用すること。
(二) 法人および個人事業主による物品の無償譲渡。
(三) 法人および個人による無形資産、不動産または金融商品の無償譲渡。
第六条 以下のいずれかの状況に該当する場合、取引は課税取引とはみなされず、増値税は徴収されない。
(一) 従業員が、雇用先または雇用主から賃金や給与を得るために提供するサービス。
(二) 行政手数料および政府基金。
(三) 法律の規程に基づき収用または徴用されたことにより取得した補償金。
(四) 預金による利息収入。
第七条 増値税は外税であり、課税取引の売上高には増値税額を含めない。増値税額は国務院の規定に基づき取引証憑に区分して記載しなければならない。
第八条 納税義務者が課税取引を行う場合、本法に別段の規定がない限り、納税義務者は一般税額計算方法、すなわち、売上増値税額から仕入増値税額を差し引いて納付すべき増値税額を計算し納付しなければならない。
小規模納税者は、売上高と徴税率に基づいて納付すべき税額を計算する簡易税額計算方法により増値税額を計算し納付することができる。
中外合作による海洋石油、天然ガス等の開発にかかわる増値税の税額計算方法は、国務院の関連規定に従って実施する。
第九条 本法が定義する小規模納税者とは、年間における課税対象増値税売上高が500万元未満の納税者を指す。
小規模納税者が健全な会計計算能力を有し、正確な税務書類を提出できる場合、管轄税務当局に登記することで、本法が規定する一般税額計算方法に基づき増値税を計算し納付することができる。
国民経済および社会発展のニーズに応じて、国務院は小規模納税者の基準を調整し、全国人民代表大会常務委員会に記録のため報告することができる。
第2章 税率
第十条 増値税率
(一)物品販売、加工修理サービス、有形動産リースサービス、輸入を行う場合、本条(二)、(四)、(五)に規定する場合を除き、税率は13%とする。
(二) 運輸、郵便、基礎電気通信、建設、不動産賃貸サービス、不動産販売、土地使用権の譲渡、販売または下記物品の輸入を行う場合、本条(四)および(五)に規定する場合を除き、税率は9%とする。
1. 農産物、食用油、食用塩
2. 自家用水道水、暖房、空調、温水、ガス、液化石油ガス、天然ガス、ジメチルエーテル、バイオガス、および家庭用石炭製品
3. 書籍、新聞、雑誌、オーディオビジュアル製品、電子出版物
4. 飼料、肥料、農薬、農業用機械、農業用フィルム
(三) 納税者がサービス販売、無形資産を譲渡する場合、本条の(一)、(二)、(五)に規定する場合を除き、6%とする。
(四)輸出に対する税率は、国務院が別途規定する場合を除き、0%とする。
(五) 国内の法人および個人が国境を越えて国務院が規定する範囲内のサービス、無形資産を販売する場合、税率は0%とする。
第十一条 簡易税額計算方法を用いて増値税の計算および納付をする場合、徴税率は3%とする。
第十二条 納税者が二種類以上の課税取引を行い異なる税率、徴税率が適用される場合、異なる税率、徴税率を適用して売上高を区分して計算しなければならない。区分して計算しない場合、高い方の税率が適用される。
第十三条 納税者が一つの課税取引において二種類以上の税率、徴税率が適用される場合、その課税取引の主たる事業に基づき税率、徴税率が適用される。
第3章 納付すべき税額
第十四条 一般税額計算方法に基づき増値税額を計算し納付する場合、納付すべき税額は、当期の売上増値税額から当期の仕入税額を差し引いた残額とする。
簡易税額計算方式により増値税額を計算し納付する場合は、納付すべき税額は、当期売上高に徴税率を乗じた額とする。
物品輸入については、本法で規定された課税価格に適用税率を乗じて増値税額が計算する。ここでいう課税価格とは、通関価格に関税および消費税を加えたものである。国務院が他の規定を定めている場合は、そちらが優先される。
第十五条 国外の法人および個人が国内で課税取引を行う場合、購入者が源泉徴収義務者となる。ただし国務院の規定に基づき国内代理人に税務申告と納税を委託する場合を除く。
源泉徴収義務者が本法の規定に従って税金を源泉徴収し納付する場合、売上高に税率を乗じて源泉徴収すべき税額を算出する。
第十六条 売上増値税額とは、納税者が課税取引を行う際に、売上高に本法で規定された税率を乗じて算出される増値税額を指す。
仕入増値税額とは、納税者が物品、サービス、無形資産、不動産を購入する際に支払った、または負担した増値税額を指す。
納税者は法律、行政法規または国務院が規定する増値税控除証憑に基づいて売上増値税額から仕入増値税額を控除しなければならない。
第十七条 売上高とは、納税者が課税取引の発生により、これと関連して取得した価格を指し、貨幣および非貨幣形態の経済的利益に相当する全額を含み、一般税額計算方法により計算された売上増値税額および簡易税額計算方法により計算された納付すべき税額は含まれない。
第十八条 売上高は人民元で計算する。納税者が人民元以外の通貨で売上高を処理する場合は、人民元に換算して計算しなければならない。
第十九条 本法第五条に規定するみなし課税取引が発生し、さらにその売上高が非貨幣形態である場合、納税者は時価に基づいて売上高を確定しなければならない。
第二十条 売上高が通常よりも著しく低いまたは大きく、かつ合理的な説明がない場合、税務当局は「中華人民共和国徴税管理法」および関連する行政法規の規定に従って売上高を確定することができる。
第二十一条 当期の仕入増値税額が当期の売上増値税額を上回る場合、納税者は国務院の規定に基づき超過額を次期に繰り越して控除を継続するか、または還付を申請することができる。
第二十二条 納税者の以下の仕入増値税額は、その売上増値税額から控除してはならない。
(一)簡易税額計算方法を適用して計算される仕入増値税額。
(二)増値税の免税品目に対応する仕入増値税額。
(三)非正常損失項目に対応する仕入増値税額。
(四)集団での福利厚生または個人消費のために購入および消費された物品、サービス、無形資産、不動産に対応する仕入増値税額。
(五)購入および直接消費された飲食サービス、住民向け日常サービス、娯楽サービスに対応する仕入増値税額。
(六)国務院が規定するその他の仕入増値税額。
第4章 優遇税制
第二十三条 小規模納税者の場合、課税取引の売上高が基準額を下回る場合は増値税が免除される。売上高が基準額を上回る場合は、本法の規定に従って増値税を全額納付しなければならない。
前項で規定された基準額は、国務院が規定し、全国人民代表大会常務委員会に記録として報告する。
第二十四条 次の項目は、増値税が免除される。
(一)農業従事者が自ら生産した農産物を販売すること、農業の機械、灌漑排水、病虫害防除、植物保護、農業および畜産の保険および関連技術研修サービス、家禽、家畜、水産動物の飼育および疾病予防。
(二)医療機関が提供する医療サービス。
(三)古書、自然人が自ら使用した物品を販売すること。
(四)科学研究、科学実験、教育に直接使用する輸入機器および設備。
(五)外国政府、国際組織が無償で援助する輸入物資および設備。
(六)障害者団体が障害者の専用に供するため直接輸入する物品、障害者個人が提供するサービス。
(七)保育所、幼稚園、高齢者介護施設、障害者サービス施設が提供する託児サービス、結婚紹介サービス、葬儀および埋葬サービス。
(八)学校が提供する学術教育サービス、勤労学生が提供するサービス。
(九)記念館、博物館、文化センター、文化財保護機関、美術館、展示会、書画学院、図書館で開催される文化イベントのチケット収入、宗教施設で開催される文化、宗教イベントのチケット収入。
前項で規定された免税対象の具体的な基準は、国務院が規定する。
第二十五条 国民経済および社会発展のニーズに応じて、国務院は小規模・小規模企業の発展支援、重点産業の支援、イノベーションやスタートアップ起業や雇用の奨励、公共事業への寄付などを目的とした専用の優遇税制を制定することができ、全国人民代表大会常務委員会に記録として報告する。
国務院は、増値税の優遇税制の評価と調整を適時に行わなければならない。
第二十六条 納税者が増値税優遇税制の項目に従事する場合、増値税優遇税制の項目の売上高は個別に計算しなければならない。個別に計算していない場合は、優遇税制を適用してはならない。
第二十七条 納税者は増値税の優遇税制を放棄することができる。優遇税制を放棄する場合、36ヶ月間、優遇税制を享受できない。ただし、小規模納税者はこの限りではない。
第5章 徴収および管理
第二十八条 増値税の納税義務の発生時期は、次の各規定により確定する。
(一)課税取引が発生した場合、納税義務の発生時期は、売上代金の受領日または売上代金に紐づけされる証憑の取得日とする。ただし、先に発票を発行している場合は、その発行日とする。
(二)みなし課税取引が発生した場合、納税義務の発生時期は、みなし課税取引が完了した日とする。
(三)輸入品の場合、納税義務の発生時期は、その輸入品が輸入申告された日とする。
増値税の源泉徴収義務の発生時期は、納税義務者の増値税の納付義務が発生した日とする。
第二十九条 増値税の納付地は、以下の規定に従って決定される。
(一)生産および営業の固定拠点を置く納税者は、その機関の所在地または居住地を管轄する税務当局に税務申告を行わなければならない。本社と支店が同じ県(市)内にない場合、本社と支店はそれぞれが所在する管轄税務当局に税務申告を行わなければならない。省レベル以上の財政および税務当局の承認を得た場合、本社は本社所在地の管轄税務当局に合算して税務申告を行うことができる。
(二)生産および営業の固定拠点を設置していない納税者は、課税取引が発生した場所を管轄する税務当局に税務申告しなければならない。税務申告が未申告の場合、その機関の所在地または居住地の管轄税務当局が未納税額を徴収する。
(三)自然人が不動産を販売または賃貸し、天然資源の使用権を譲渡し、または建設サービスを提供する場合には、不動産の所在地、天然資源の所在地、建設サービスの発生地を管轄する税務当局に税務申告しなければならない。
(四) 輸入品の納税者は、税関が規定する場所で税務申告しなければならない。
(五) 源泉徴収義務者は、その機関の所在地または居住地の管轄税務当局に源泉徴収税を税務申告しなければならない。機関の所在地または居住地が国外にある場合、課税取引の発生地の管轄税務当局に源泉徴収税を税務申告しなければならない。
第三十条 増値税の課税期間は、10日、15日、1ヶ月、または1四半期とする。納税者の具体的な課税期間は、納税者の納付すべき税額の多寡に応じて管轄税務当局が決定する。課税取引を頻繁に行わない納税者は、その都度納税することができる。
納税期間を1か月または四半期とする納税者は、その期間の終了後15日以内に税務申告を行う。課税期間が10日または15日の場合、翌月の初日から15日以内に税務申告を行う。
源泉徴収義務者が税金を納付する課税期間および税務申告の期限は、前二項の規定に従って実施される。
輸入品の納税者は、税関が規定する期限内に税務申告をしなければならない。
第三十一条 納税義務者が十日または十五日を課税期間とする場合には、納税義務者は、その期間の終了日の翌日から五日以内に、その期間の税金を予納しなければならない。
法律、行政法規に納税者の予納に関するその他の規定がある場合、その規定が優先される。
第三十二条 増値税は税務当局が徴収し、輸入品にかかる増値税は税関が税務当局に代わって徴収する。
税関は、増値税の代理徴収および商品の輸出申告に関する情報を税務当局に提供しなければならない。
個人による携帯または郵送による個人輸入品に対する増値税の徴収方法は、国務院が策定し、全国人民代表大会常務委員会に記録として報告する。
第三十三条 納税者が物品を輸出またはサービス、無形資産を国境を越えて販売し、ゼロ税率が適用される場合、納税者は管轄税務当局に税還付(免税)を申請しなければならない。輸出税還付(免税)に関する具体的な措置は国務院が制定する。
第三十四条 納税者は、法律に従って増値税発票を発行および使用しなければならない。増値税の発票には、紙の発票と電子発票が含まれる。電子発票は紙の発票と同等の法的効力を有する。
国家は電子発票の使用を積極的に推進する。
第三十五条 税務当局と工業および情報化、公安、税関、市場監督管理局、中国人民銀行、金融監督管理などの部門と増値税に関する情報共有の仕組みと協力体制を構築しなければならない。
関連部門は、法律、行政法規に基づき、それぞれ職責を負う範囲内で、税務機関の増値税の徴収管理業務を支援、協力しなければならない。
第三十六条 増値税の徴収管理は、本法および「中華人民共和国徴収管理法」に関する法律の規定に従って実施する。
第三十七条 納税者、源泉徴収義務者、税務当局およびその職員が本法の規定に違反した場合は、「中華人民共和国徴収管理法」およびその他の関連法規、行政法規の規定に従って法的責任を問われる。
第6章 附則
第三十八条 本法は2026年1月1日に施行する。「中華人民共和国増値税暫定条例」は同時に廃止する。
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