中国販路拡大コンサルタントの太田早紀です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。
(※ 居住者に係る外国税額控除の対象とならない外国所得もありますので、顧問税理士様や管轄の税務署などにご相談することをお勧めいたします。)
私太田も日本居住者ですが、中国現地法人(上海MTAC)の董事長総経理を務めているため役員報酬があり、役員報酬は中国国内源泉所得に該当します。
このような事情より、私太田も中国国内源泉所得について日本で確定申告しています。
そもそも、日本の居住者で中国での所得がある方はレアケースです。
レアケースであることから、いざ起きたときに困るのは以下パターンではないでしょうか。
日本では参考とすべき情報や資料が少ない!
日本の税務署に提出する書類は中国側の組織の協力が不可欠!
そのような理由から、当ブログでは日本の居住者で中国での所得がある方向けに、
日本での確定申告において、どのような書類が必要で中国側で入手できるのか、またどのように取得したら良いか、について解説しております。
【個人所得税】日本居住者で中国での所得がある方向け 【20年版外国税額控除用添付書類】
目次:
1、居住者に係る外国税額控除の適用を受けるためには
2、どのような書類が必要か
3、どのように取得したら良いか
1、居住者に係る外国税額控除の適用を受けるためには
居住者に係る外国税額控除の適用を受けるためには、次の書類を確定申告書、修正申告書又は更正請求書(以下「申告書等」といいます。)に添付する必要があります。この場合に外国税額控除として控除されるべき金額等は、一定の場合を除き、次の(1)の明細書に記載された金額が限度となります。
【添付すべき書類とは以下の通りです。】
(1) 『外国税額控除に関する明細書(居住者用)』
(2) 外国所得税額を課されたことを証する書類
(3) 外国の法令により課される税の名称及び金額、その税を納付することとなった日及びその納付の日又は納付予定日、その税を課する外国又はその地方公共団体の名称並びにその税が外国税額控除の対象となる外国所得税に該当することについての説明を記載した書類
(4) 外国所得税が減額され、上記6(1)の適用がある場合には、減額に係る年において減額された外国所得税額につきその減額された金額及びその減額されることとなった日並びにその外国所得税額がその減額に係る年の前年以前の各年において控除されるべき金額の計算の基礎となったことについての説明を記載した書類
(5) 上記(3)の税を課されたことを証するその税に係る申告書の写し又はこれに代わるべきその税に係る書類及びその税が既に納付されている場合にはその納付を証する書類(納税証明書や更正決定に係る通知書、賦課決定通知書、納税告知書、源泉徴収票などを含みます。)
(6) 国外源泉所得の金額の計算に関する明細を記載した書類
(1)を除き、(2)から(6)は中国で取得可能な書類です。そのうち、一般的なケースとしては、(2)(3)(5)に関する書類を提出することになると思われます。
2、どのような書類が必要か
(1)を除き、(2)から(6)は中国側で取得可能な書類です。そのうち、一般的なケースとしては(2)(3)(5)に関する書類を提出することになると思われます。
(2)(3)(5)に関する書類としては、(5)にも記載がある通り、まさしく申告書の写しがベストかと思います。また納税証明書も併せて添付すると更に良いかと思います。
【申告書の写し(個人所得税申告書の写し)】
画像内の①②③について、
①非居住者申告
②給与や役員報酬等の収入(課税所得ではありません)
③個人所得税納税額
その他に、以下情報も表示されています。
給与や役員報酬等の収入を支払う中国子会社などの組織体の名称がある
個人(この画像の場合は私太田)の氏名やパスポートなど身分証の記載がある
昨年2019年度は某税務署を訪問し、個人所得税申告書の写しで問題ないか直接確認をしました。2020年度も直接確認したかったのですが、コロナ禍のため訪問を控えました。2020年度の個人所得税申告書のフォーマットが2019年度版とほぼ同じであること、2019年度は某税務署では問題ないとの回答であったことから、20年度も恐らく問題ないと存じます。
※税務書により意見も異なるかと思われますので、お近くの税務署でご確認頂くことをお勧めいたします。
3、どのように取得したら良いか
申告書の写し(個人所得税申告書の写し)は、中国子会社などの組織、中国の税務局、中国の個人所得税のアプリなどから取得できます。
ただし日本居住者にとって、中国の税務局を訪問しての取得や中国の個人所得税のアプリが日本では使用できない場合もあることから、難易度が高いかと思われます。
もっとも取得しやすい方法としては、中国子会社などの組織からの取得です。中国子会社などの組織では、本人に支払う際に個人所得税の源泉徴収を行う義務があるため、個人所得税の申告書の作成も同時に行います。また個人所得税の申告は、一般的には電子申告・納税システムを介して行います。
以上より、中国子会社などの組織に直接問い合わせ、また取得することが、実務的には行いやすいのではと思います。
個人所得税用の電子申告・納税システム。個人所得税申告書の写しが取得できます↓↓↓
なお、日本の確定申告において外国税額控除の計算などにつきましては、顧問税理士の方に直接ご確認ください。
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