中国販路拡大コンサルタントをしている太田早紀です。
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【最新政策】中国行政処罰法【参考訳】④
2021年1月22日付で全国人民代表常務委員会にて「中国行政処罰法」が通過し、2021年7月15日から施行されます。全部で86条ありますので、章ごとに分けて参考訳を掲載いたします。なお、主席令は憲法に次ぐ命令になるため、中国国内で非常に強い法的拘束をもたらします。
部門:全国人民代表常務委員会
政策名:中国行政処罰法(中国主席令第70号)
中国語:中华人民共和国行政处罚法
【参考訳】
第四章 行政処罰の管轄と適用
第二十二条 行政処罰は違法行為が生じた場所の行政機関が管轄する。法律、行政法規、部門規則に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。
第二十三条 行政処罰は県級以上の地方人民政府で行政処罰権を有する行政機関が管轄する。法律、行政法規に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。
第二十四条、省、自治区、直轄市は現地の実際状況に基づいて、緊急に必要とする県級人民政府部門の行政処罰権の管理を有効的に継承することができる郷鎮人民政府、街道事務所に引き渡すことが決定でき、且つ定期的に評価を行うことができる。決定後は公にしておかなければならない。
行政処罰権を継承する郷鎮人民政府、街道事務所は法の執行能力の構築を強化し、規定の範囲、法定のプロセスに基づき行政処罰を実施するものとする。
関連の地方人民政府及びその部門は、協力、業務指導、法の執行監督を強化し、健全な行政処罰の協調協力体制、完全な評議、審査制度を構築するものとする。
第二十五条 二箇所以上の行政機関がいずれも管轄権を有する場合、先に立案した方の行政機関が管轄する。
管轄で生じた争議について、協議により解決するものとし、協議によって解決しない場合は、共通の上級行政機関に管轄を指定するよう申請するものとする。共通の上級行政機関が直接管轄を指定してもよい。
第二十六条 行政機関は実施する行政処罰の必要に応じて、関連機関に協力を要請することができる。要請先機関の職権の範囲内での協力内容とし、法に基づき協力するものとする。
第二十七条 違法行為に犯罪の嫌疑がある場合、行政機関は速やかに案件を司法機関に移送し、法に基づき刑事責任を追及するものとする。法に基づき刑事責任を追及する必要がない若しくは刑事処罰を免れる案件については、行政処罰を与え、司法機関は速やかに案件を関連の行政機関に移送するものとする。
行政処罰の実施機関と司法機関は相互間の協力体制を強化し、案件を健全に移送できる制度を構築し、証拠材料の移送、受領や引継ぎを強化し、案件の処理情報の機関への報告を完全なものとする。
第二十八条 行政機関が行政処罰を実施する時は、違法行為の是正若しくは期限を設けての是正を当事者に命じるものとする。
当事者が違法所得を有する場合、法に基づき、払い戻しに応じる金銭以外は、没収するものとする。違法所得とは、違法行為をしたことによって取得した全ての金銭を指す。法律、行政法規、部門規則が違法所得の計算に対して特別の定めがある場合は、その定めるところによる。
第二十九条 当事者の同一違法行為に対して、二回以上の罰金の行政処罰を与えてはならない。複数の法規範に対する同一の違反行為が罰金で処罰される場合、罰金の高額な方が課される。
第三十条 十四歳未満の未成年による違法行為は、行政処罰を与えず、保護者に教育を命じる。満十四歳以上十八歳未満の未成年による違法行為は、軽度の行政処罰に処する若しくは減刑するものとする。
第三十一条 精神病患者、知能障害者が事理弁識できない若しくは自己の行為を制御できない時に違法行為を行った場合、行政処罰はあたえないが、その監督者に更に厳しい管理や治療を行うよう命じるものとする。間欠性精神病患者が精神の正常時にした違法行為は、行政処罰を与えるものとする。事理弁識能力を完全に喪失していない若しくは自己の行為能力を完全にコントロールできない精神病者、知能障害者が違法行為をした場合は、軽度の行政処罰に処する若しくは減刑するものとする。
第三十二条 当事者が下記の要件の一つに該当する場合は、軽度の行政処罰に処する若しくは減刑するものとする。
(一)違反行為による有害な結果を排除または軽減するために、本人が率先して行動した場合
(二)他人から違反行為を強要されたり、誘われたりした場合
(三)行政機関が未掌握の違法行為について自発的に供述する場合
(四)行政機関に協力し違法行為の調査に功績を立てた場合
(五)法律、法規、規則に軽度の行政処罰に処する若しくは減刑するものと特別に定められている場合
第三十三条 違法行為が軽微であり、適時に是正し、有害な結果を引き起こさなかった場合は、行政処罰は課されない。違法行為が初めてであり、有害な結果が軽微、かつ適時に是正された場合、行政処罰を課さないこともできる。
当事者が悪意による過失ではないことを証明するのに十分な証拠を持っている場合、行政処罰は課されない。法律、行政法規に特別の定めがある場合は、その定めるところによる。
当事者の違法行為に対して法に基づいて行政処罰が課されない場合、行政機関は当事者に対して教育を行うものとする。
第三十四条 行政機関は法に基づいて行政処罰の裁量基準を制定し、行政処罰を行使する裁量権を規定することができる。行政処罰の裁量基準は社会に公表するものとする。
第三十五条 違法行為が犯罪を構成し、人民法院が拘禁或いは有期懲役刑として判決する場合、既に当事者に行政拘留を処している行政機関は、法に基づいて相応の刑期を相殺するものとする。
違法行為が犯罪を構成し、人民法院が罰金として判決する場合、既に当事者に罰金を課している行政機関は、相応の罰金を相殺するものとする。行政機関が未だ当事者に罰金を課していない場合は、罰金を課してはならない。
第三十六条 違法行為が二年以内に発見されなかった場合、行政処罰を与えない。公民の生命、健康、安全、金融の安全に関わり有害な結果をもたらす場合、上記の期間を5年に延長するものとする。法律に特別の定めがある場合を除く。
前項で規定している期間は、違法行為の発生日から起算するものとし、違法行為が連続している若しくは継続状態にある場合は、その行為終了の日から起算するものとする。
第三十七条 行政処罰の実施は、違法行為が発生した時点での法律、法規、規則の規定を適用する。但し、行政処罰の決定時に、法律、法規、規則が既に改正若しくは廃止され、かつ新しい規定が軽度の処罰を課すこと若しくは違法行為とみなさないことを規定している場合は、新しい規定を適用する。
第三十八条 行政処罰に根拠がない若しくは実施主体が行政主体の資格を有していない場合、行政処罰は無効となる。
法定手続きに違反し、重大かつ明白な違法行為を構成する場合は、その行政処罰は無効となる。
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