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【企業所得税】関連企業からの借入金に対する支払利子の規定

更新日:7月30日

上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。

当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。

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【企業所得税】関連企業からの借入金に対する支払利子の規定

 

 上海市税務総局の公式アカウントに、関連企業からの借入金に対する支払利子について、損金算入に関する基準や関連規定また計算方法についての解説がありましたので、紹介いたします。


目次:
1.損金算入に関する基準
2.特別な規定
3.計算方法
4.根拠規定

1.損金算入に関する基準

 企業は、関連企業からの「債権性投資(借入金)」と「権益性投資(出資金)」との割合において、規定の基準を上回って発生している支払利子を課税所得額の計算において損金算入することができない、と規定されています。


根拠規定:

「中華人民共和国企業所得税法」(中華人民共和国主席令第63号)第46条


1.規定の基準について

 基準①:非金融企業は、非金融企業からの借入金について、同期間における金融企業の類似の貸付利率に基づき計算された金額を上限として、支払利子を損金算入することができる。


 基準②:企業が関連企業に実際に支払った利子について、課税所得額の計算において、以下の規定の割合を超えない場合及び税法やその実施条例の関連規定に基づき計算された金額は損金算入することができる。超過額は発生した事業年度およびそれ以降の事業年度において損金算入することができない。

 

 企業が関連企業に実際に支払った利子について、本通達第2条の規定を除き、関連企業からの借入金と出資金との割合は以下の通りです。

  • 金融企業・・・5対1(出資金の5倍まで)

  • 金融企業以外の企業・・・2対1(出資金の2倍まで)


根拠規定:

「中華人民共和国企業所得税法実施条例」(中華人民共和国国務院令第512号) 第38条第2項

「関連企業の支払利子の損金算入の基準に関する税務政策上の問題に関する財政部及び国家税務総局の通達」(財税[2008]第121号) 第1条


2.「債権性投資(借入金)」について

 企業所得税法第46条における「債権性投資(借入金)」とは、企業が関連企業から直接または間接的に受ける資金調達で、元本の返済と利子の支払いを必要とするもの、または支払利子の性質を有する他の方法にて充当を必要とするものをいいます。


 企業が関連企業から間接的に受ける「債権性投資(借入金)」には、以下が含まれます。

1.     関連企業が無関係の第三者を介して行う借り入れ。

2.     無関係の第三者から提供されるが、関連企業が保証し、なおかつ連帯債務を負う借り入れ。

3.     その他、関連企業から間接的に受け入れた実質上負債の借り入れ。


 企業所得税法第46条にいう出資(権益性投資)とは、企業が受け入れる出資のうち、元本の返済および利子の支払いを必要とせず、投資家が企業の純資産の所有権を有するものを指す。

 企業所得税法第46条にいう基準は、国務院の財政、税務の主管部門が別途定める。


根拠規定:

「中華人民共和国企業所得税法実施条例」(中華人民共和国国務院令第512号)第119条


3.金融機関の同期間における類似の貸付利率に関する規定

 企業が契約書の条件に基づき、初めて利子を支払い、さらに損金算入を行う場合、支払利子の合理性を証明するために「金融機関の同期間における類似の貸付利率に関する説明書」を提出する必要がある。


 「金融機関の同期間における類似の貸付利率に関する説明書」には、当該契約書の締結時において、省内のいずれかの金融機関が提供する同期間の類似の貸付利率について記載されている必要がある。

 

 ※金融機関とは、銀行、ファイナンス会社、信託会社、その他の金融機関を含む、融資業務に従事することができる政府関連部門に認可され設立された企業を指す。

 ※同期間における類似の貸付利率とは、貸付期間、貸付金額、担保の有無、企業の信用力など、基本的に同一の条件で金融機関が融資を行った場合の貸付利率を指す。


根拠規定:

「企業所得税に関する若干の問題に関する国家税務総局の公告」(国家税務総局公告2011年第34号)


2.特別な規定

1.     企業が税法及びその実施条例の関連規定に基づいて関連資料を提供することができ、なおかつ関連する取引活動が独立取引の原則に合致していることを証明できる場合。

または、当該企業の実際の税負担が国内の関連企業よりも高くない場合、当該企業が国内の関連企業に実際に支払った利子は、課税所得額を計算する際に損金算入が認められます。


2.     企業が金融業と非金融業を兼業している場合、関連企業に対して実際に支払った利子は、合理的な方法により区分して計算しなければなりません。合理的な方法により区分して計算することができない場合、常にその他の企業に関するものと同じ割合で、損金算入が認められる支払利子を計算します。


3.計算方法

 

①    甲社と乙社はともにメーカーであり、2023年に甲社は関連企業の乙社に5,000万元を出資している。その後、3月1日に乙社は甲社から生産のために2億元を借り入れた。

借入金の条件は、返済期間が10か月、年利6%である。なお、金融企業の同期間における類似の貸付利率は4.8%である。


 関連企業からの借入金の場合、支払利子の損金算入額について、借入金と出資金との割合及び法定利率による限度額を考慮する必要があります。(金融企業以外の企業・・・2対1(出資金の2倍まで)


これより当事業年度の支払利子の損金算入額=出資金5,000万元×2×銀行金利4.8%÷12か月×10か月=400万元となります。

           

借入金2億元×年利6%÷12か月×10か月=1,000万元ではありません。

  


②    エレクトロニクス社(企業所得税率:15%)が、2023年1月1日に親会社(企業所得税率:25%)から原材料の購入のために借り入れをした。

借入金の条件は、返済期間が2年間、借入額が5,000万元、年利が10%である。なお、金融企業の同期間における類似の貸付利率は7%である。またエレクトロニクス社に対する親会社の出資額は2,000万元である。


 エレクトロニクス社の実際の税負担が国内の関連企業よりも高くない場合、借入金と出資金との割合による限度額を考慮する必要はありません。これより当該借入金の支払利子は、同期間における金融企業の類似の貸付利率に基づき算出した金額までが損金算入できます。

 

 2023年度の支払利子の損金算入額=借入額5,000万元×銀行金利7%=350万元になります。



4.根拠規定

1.中華人民共和国企業所得税法(中華人民共和国国家主席令第63号)

2.中華人民共和国企業所得税法実施条例(中華人民共和国国務院令第512号)

3.関連企業の支払利子の損金算入の基準に関する税務政策上の問題に関する財政部及び国家税務総局の通達(財税[2008]第121号) 

4.企業所得税に関する若干の問題に関する国家税務総局の公告(国家税務総局公告2011年第34号)

 

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