上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
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【企業所得税】見積計上した原価や費用に関して
発票などの有効な証憑がなくても原価や費用を計上できますが、税務上は見積計上が認められないため、やはり発票などの有効な証憑が必要になります。なお、発票などの有効な証憑が未取得であることから見積計上になっている状況は、企業の財務活動においてたびたび散見されます。
上海市税務総局が、見積計上した原価や費用に関する発票が未取得の場合や遅くともいつまでに取得すべきかなどを解説してましたので、紹介いたします。
目次:
1.見積計上した原価や費用に関する発票が未取得の場合
2.見積計上に関する発票は、遅くともいつまでに取得すべきか
3.過年度の見積計上に関する発票を取得した場合
4.発票を取得できない場合
1.見積計上した原価や費用に関する発票が未取得の場合
規定により、企業がさまざまな要因により、当期に実際に発生した原価や費用に関する有効な証憑を適時に取得できない場合、企業所得税の四半期申告時は帳簿上の計上額に基づいて一時的に計算および申告できます。
但し、企業所得税の確定申告時までには、当該原価や費用に関する有効な証憑を取得しておく必要があります。
規定:
●企業所得税に関する若干の事項についての国家税務総局の公告(国家税務総局公告2011年第34号)第6条
MTAC加筆:
※規定には、「発票」ではなく、「有効な証憑」と明文化されています。発票は有効な証憑の一つであり、中国では主流です。
2.見積計上に関する発票は、遅くともいつまでに取得すべきか
各規定により、企業は当事業年度の企業所得税確定申告期間の終了前までに、損金算入を証明する証憑を取得する必要があります。企業所得税の確定申告期間は、事業年度終了後から5カ月以内です。
規定:
●企業所得税の税額控除証明書管理弁法の公布に関する国家税務総局公告(国家税務総局公告2018年第28号)第6条
●中華人民共和国企業所得税法(中華人民共和国国家主席令第63号)第54条
3.過年度の見積計上に関する発票を取得した場合
企業に過年度に実際に発生した費用で、税法の規定により企業所得税税から控除すべきにもかかわらず未控除であった、または控除額が少なかったことが判明したとき、企業は専項申告および税務局に対して説明説明を行った場合、その費用が発生した年度まで遡って控除額を計算することが認められます。ただし、遡及期間は5年を超えることができません。
規定:
●企業所得税の課税所得の税務処理に関するいくつかの問題についての国家税務総局の
公告(国家税務総局公告2012年第15号)
MTAC加筆:
※専項申告は通常の月次申告や年度申告とは異なり、特定の事項に対する申告です。専項申告をするには、会計師事務所による専項報告書が必要になるかと思われます。ただし、専項申告の要件や税務局に対する説明は実務上は難しいかと思われます。
4.発票を取得できない場合
相手方が登記抹消、法による営業許可証の取り消し、税務当局による異常事業者認定などの特別な理由により、発票やその他証明書の発行や差し替えができない場合、以下の証憑で支出の正当性を確認できれば、当該支出の損金算入が認められます。
発票やその他証明書の発行や差し替えができないことを示す証憑類(営業許可証の抹消、清算、異常事業者認定リストへの登録、破産宣告などの証憑類を含む)
関連取引活動に関する契約書または合意書
現金以外の支払いに関する支払い証憑
物品の輸送証明書
商品の入庫および出庫に関する社内証憑
会計記録およびその他の情報。
前項の1から3までは必須です。
規定:
●企業所得税の税額控除証明書管理弁法の公布に関する国家税務総局公告(国家税務総局公告2018年第28号)第14条
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