中国の『脱税』について考える。
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中国の『脱税』について考える。

更新日:2021年8月29日

中国販路拡大コンサルタントの太田早紀です。

当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。



当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。

 
中国の『脱税』について考える。



 ここ数日チュートリアル徳井氏の税務申告漏れが話題になっていますが、昨年中国では人気女優のファン・ビンビン(范冰冰)が巨額の脱税事件を起こしており、驚愕すべき罰金額と追徴金(約147億円!)から記憶に残っている方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は中国の『脱税』にポイントを絞り解説いたします。



 中国語で『脱税』は『偸税』といい、租税法上の根拠法は「中華人民共和国税収征収管理法」(全国人民代表大会常務委員会制定)です。



第六十三条で「脱税」を下記の通り定義しています。

●納税者が偽造・捏造・隠匿・自ら帳簿や記帳証票を棄損した場合

●帳簿に支出の過大或いは過少計上や収入の過少計上をしていた場合

●税務機関が申告するよう通知しても拒否し申告しない場合

●虚偽の税務申告を行った場合

●税金の不納や過少納付をした場合



 また納税者が脱税した場合、税務機関は不納額や不足額、延滞金を徴税すると共に、不納額や不足額の50%以上から5倍以下の罰金を処すとし、犯罪を構成する場合は刑事責任を追及する、とも定めています。



 第五十二条で、「脱税」、「納税拒否」、「税額詐取」による未納額や不足額、延滞金、詐取した全税額の徴税は遡及期間(3年や5年※)の制限を受けない、と定めています。

※遡及期間3年は税務機関側の責任で納税者の未納や不足があった場合

※遡及期間5年は納税者側の責任で未納や不足があった場合


 中国進出した日系企業の申告が故意に脱税行為をすることは余り考えられませんが、駐在員や現地職員などの個人が知らず知らずに違法行為をしてしまっていたり、逆に脱税行為の被害に遭っていたりするということを聞きます。

 また今年になって方々から耳にする話もあります。それは、2019年から個人所得税法が変わり新たに「住宅家賃控除」ができたことで、貸主が不動産収入を申告したくないために、借手に「住宅家賃控除」を利用するなら家賃を値上げすると言った内容です。

※住宅家賃控除を適用するには貸主の身分証明書番号等を申告する必要がある。


 会社も個人も、知らず知らずのうちに違法行為に関与してしまっていたということにならないようにしたいものです。

 

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