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【個人所得税】外国人が受け取る配当所得に対する個人所得税の免除について

こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。

このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。


上海市政府が発表した「ノマドビザ」に関する意見書について紹介しています。
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目次

✅ 1. 外国人が受け取る配当所得に対する個人所得税の免除について

✅ 2. 税字[1994]20号財政部・国家税務総局による個人所得税に関する若干の政策問題に関する通知 参考訳



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中国において、外国人個人が外資系企業(外商投資企業)から受け取る配当金や株式配当(紅利)所得については、一定の規定に基づき、個人所得税が一時的に免除されることが定められています。


このような税制上の優遇措置は、中国への投資意欲を後押しし、長年にわたり中国市場に投資してきた外国人投資家にとっても重要な制度として機能してきました。


特に、配当の受け取りや再投資に関する判断において、この免税規定は非常に大きな意味を持ちます。


しかしながら、当該規定には、対象となる外国籍個人が「中国居住者」か「中国非居住者(国外居住者)」であるかについての明確な記載がありません。この点を確認すべく、当社では税務局に直接問い合わせを行いました。



✅ 1. 外国人が受け取る配当所得に対する個人所得税の免除について


先述のとおり、外国人個人が外資系企業(外商投資企業)から受け取る配当所得については、一定の条件下で個人所得税が免除される規定が存在します。


しかしながら、この規定には、対象となる外国人個人が「中国居住者」であるか、「中国非居住者(国外居住者)」であるかに関する明確な記載がなく、実務上の解釈に迷うケースも見受けられます。


また、仮に本免税規定が適用されない場合、配当所得には通常20%の個人所得税が課されるため(※租税協定の適用はここでは割愛)、

適用の有無によって「課税なし(0%)」か「20%課税」かという、極めて大きな差が生じることになります。


そのため、この規定の適用範囲を正確に把握することは、外国人投資家にとって非常に重要なポイントと言えるでしょう。


こうした背景から、当社では税務局に直接確認を行った結果、以下の見解を得るに至りました。

「居住者か非居住者かを問わず、外国人個人であれば本免税規定の適用対象となる」

このように、居住形態にかかわらず外国人であれば対象となるという見解は、配当戦略やクロスボーダー投資の意思決定において、重要な判断材料となります。


今後の制度改正や運用の変化にも留意しつつ、引き続き最新の動向を注視してまいります。

なお、本規定の出典につきましては、以下をご参照ください。


また、実務上の税務申告においては、たとえ配当所得が免税対象であっても申告は必須となります。申告書の「収入欄」には該当金額を入力したうえで、同時に「免税収入」欄にも同額を記載する必要があります。


このように、所得自体は申告した上で、その全額を免税対象として処理する形式が一般的です。ただし、税務局の管轄や実務運用によっては、記入方法や確認書類に差異がある場合もありますので、必ず管轄の税務局へ確認するか、最新の操作マニュアルを参照することをお勧めします。

また、こうした実務対応について不安がある場合は、弊社のように中国の会計・税務に特化した専門家にご相談いただくことも有効です。


✅ 2. 税字[1994]20号財政部・国家税務総局による個人所得税に関する若干の政策問題に関する通知 参考訳


第二項:以下の所得については、暫定的に個人所得税を免除する。

(一)外国人個人が、現物支給または実費精算の形式で受け取る住宅手当、食事手当、引越費用、クリーニング費用。

(二)外国人個人が、合理的な基準に基づいて受け取る国内外出張手当。

(三)外国人個人が受け取る、帰省費用、語学研修費用、子女の教育費などのうち、現地の税務当局によって合理的と認められた部分。

(四)個人が、各種の違法・犯罪行為に関する通報や協力調査によって得た報奨金。

(五)個人が源泉徴収等の税務手続きを代行し、規定に基づいて受け取る源泉徴収手数料。

(六)個人が、自己使用かつ5年以上保有しており、かつ唯一の家庭用住宅を譲渡したことによって得た所得。

(七)「国発[1983]141号《国務院による高級専門家の退職に関する暫定規定》」および「国弁発[1991]40号《国務院弁公庁による傑出した高級専門家の退職延期に関する通知》」の趣旨に基づき、退職年齢に達しているものの、業務上の必要から退職時期が適切に延長された高級専門家(国家から特別政府手当を受けている専門家・学者を指す)が、延長期間中に受け取る給与・賃金所得については、退職金・離職金とみなされ、個人所得税を免除する。

(八)外国人個人が外資系企業(外商投資企業)から受け取る配当金および株式配当(紅利)所得。

(九)以下のいずれかの条件に該当する外国人専門家が取得する給与・賃金所得については、個人所得税を免除することができる:

  1. 世界銀行の特別融資協定に基づき、世界銀行から直接中国に派遣された外国人専門家。

  2. 国連機関から直接中国に派遣された専門家。

  3. 国連の援助プロジェクトのために来中して勤務する専門家。

  4. 援助国が自国の無償援助プロジェクトのために中国に派遣した専門家。

  5. 両国政府間の文化交流協定に基づき来中し、勤務期間が2年以内の文教専門家で、その給与・賃金が派遣国により負担されている者。

  6. 中国の高等教育機関による国際交流プロジェクトに基づき来中し、勤務期間が2年以内の文教専門家で、その給与・賃金が派遣国により負担されている者。

  7. 民間の科学研究協定に基づき来中した専門家で、その給与・賃金が派遣国の政府機関によって負担されている者。

  


※当該文書の第2条に定める「外国人個人が取得する補助金等の所得についての認可要件」は、2004年6月25日をもって廃止されました。

これは、《国家税務総局による外商投資企業・外国企業および外国人個人に関する一部の税務行政許可事項の取消・権限委譲に関する通知》(国税発〔2004〕80号)に基づくものです。



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