【中国個人所得税】お年玉や宝くじに税金!? 課税されるケースとは?
- ohtashmtac
- 2 日前
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更新日:1 日前
上海MTAC、合同会社MTACジャパンの太田です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
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中国では、WeChat紅包(お年玉)、宝くじの当選、ショッピングモールでの抽選など、個人が得る“ちょっとした臨時収入”に対して、税金が課されるのかどうか気になる方も多いのではないでしょうか。
こうした疑問に対し、2025年5月、上海市税務総局はWeChat公式アカウントにて、Q&A形式による解説を公開しました。本稿では、その内容をご紹介します。
目次(解説付き)
●Q1:WeChat紅包(お年玉)
1.会社から支給される「金一封」に税金はかかるのか?
2.親族や友人間での送金は課税対象となるのか?
●Q2:ショッピングモールの抽選
─ 景品や賞品に対する課税の扱いとは?
●Q3:くじの当選金
─ 高額当選した場合、税務上の取り扱いは?
Q1:WeChat紅包(お年玉) 1.会社から支給される「金一封」に税金はかかるのか?
背景:
今年は会社の業績が好調だったことから、社長は財務部門のスタッフに対し、WeChatの紅包(お年玉)機能を利用して、全社員に1人あたり1,000元の「金一封」を配るように指示を出しました。
このような場合、この「金一封」には個人所得税が課されるのでしょうか?
解説:
『中華人民共和国個人所得税法実施条例』(国務院令第707号)第六条(一)の規定によれば、「給与・賃金所得」とは、個人が職務に就いたり雇用されたことにより得た、給与、賃金、賞与(ボーナス)、年末手当、利益分配、各種手当、および職務または雇用に関連して得られるその他の所得を指します。
したがって、スタッフが受け取った「金一封」は、たとえ会社からの「お年玉(紅包)」という形式で支給されたものであっても、雇用関係に基づき得た所得と見なされ、「給与・賃金所得」として個人所得税の課税対象となります。
Q1:WeChat紅包(お年玉) 2.親族や友人間での送金は課税対象となるのか?
背景:
親戚や友人たちとWeChatのグループチャット上で、お年玉(紅包)を送り合っています。年間の合計金額は数百元程度です。
このような場合でも、個人所得税は課されるのでしょうか?
解説:
『財政部・税務総局による「個人が取得する関連収入に適用される個人所得税の課税対象所得項目に関する公告」』(財政部・税務総局公告2019年第74号)に関する財政部税政司および税務総局所得税司の回答によれば、ここでいう「ネット紅包(オンラインお年玉)」とは、企業が個人に支給するネット紅包のみを指し、親戚や友人同士で贈り合うネット紅包は含まれません。
したがって、親戚や友人の間で贈り合うギフト(ネット紅包を含む)は、個人所得税の課税対象にはなりません。
Q2:ショッピングモールの抽選 ─ 景品や賞品に対する課税の扱いとは?
背景:
ショッピングモールの抽選イベントに参加したところ、運よく1等賞に当選し、景品としてスマートフォンを1台受け取りました。
このような場合、個人所得税は課されるのでしょうか?
解説:
『財政部・税務総局による「個人が取得する関連収入に適用される個人所得税の課税対象所得項目に関する公告」』(財政部・税務総局公告2019年第74号)によれば、企業が宣伝・広告活動などの一環として、ランダムに自社以外の個人に贈与するギフト(ネット紅包を含む)や、年次イベント、懇談会、祝賀会などで自社以外の個人に贈与するギフトについては、その個人が得たギフトの収入は「偶発所得」として個人所得税の対象になります。
また、『中国個人所得税法』第3条第(三)項によれば、利子、配当、紅利所得、不動産の賃貸所得、不動産の譲渡所得、および偶発所得には比例税率(20%)が適用されると定められています。
なお、偶発所得については、Q3で取り上げたスポーツくじ(体育彩票)の当選金に適用される特例を除き、一定額以下で非課税となる制度は設けられていません。
したがって、偶発所得に該当するすべての金額に対して、原則として個人所得税が課されます。
さらに、こうしたギフト収入における課税所得額(=税額計算の基礎)は、『企業の販促活動で贈与されるギフトに関する個人所得税問題の通知』(財税〔2011〕50号)第3条の規定に基づいて計算されます。
Q3:くじの当選金 ─ 高額当選した場合、税務上の取り扱いは?
背景:
中国のスポーツくじ(体育彩票)を購入したところ、800元が当選しました。
このような場合、個人所得税は課されるのでしょうか?
解説:
『財政部・国家税務総局による「個人が取得したスポーツくじ(体育彩票)の当選所得に関する個人所得税の課税・免税問題に関する通知」』(財税字〔1998〕12号)によれば、個人が購入したスポーツくじ(体育彩票)による当選所得については、1回あたりの当選金額が1万元(10,000元)以下の場合、個人所得税の徴収は一時的に免除されると定められています。
一方、当選金が1万元を超える場合には、税法の規定に基づき、当選金の全額に対して個人所得税が課され、その所得は「偶発所得」として申告する必要があります。
したがって、ご質問のように当選金が800元である場合、現行制度の下では個人所得税は課されません。
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