【企業所得税】非貿易送金と指定源泉徴収の実務ポイント
- ohtashmtac
- 1 日前
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更新日:8 時間前
こんにちは。上海MTACおよび合同会社MTACジャパンの太田です。
このブログでは、中国における会計・税務・労務の規定や実務について、わかりやすく解説しています。中国現地法人の財務管理のご参考として、また中国での販路拡大の一助となれば幸いです。

目次
はじめに
法定源泉徴収と指定源泉徴収の比較
指定源泉徴収の計算方法
実務上のポイント
根拠規定
はじめに
中国企業が国外企業からサービス提供を受け、その対価としてサービス費を支払う場合、原則として企業所得税の源泉徴収義務が発生する点に注意が必要です。
ここでは、源泉徴収の種類として、法定源泉徴収と指定源泉徴収の二つについて解説します。
なお、規定上および実務上、取引関係や契約内容等によっては、企業所得税の源泉徴収が求められないケースも見受けられます。
法定源泉徴収と指定源泉徴収の比較
区分 | 法定源泉徴収 (中国語:法定扣缴) | 指定源泉徴収 (中国語:指定扣缴) |
対象 | 配当・利息・ロイヤリティ・その他所得 | 工事作業・サービス所得 |
適用条件 | 非居住者企業が機構・場所なし、 または関連なし | 税務局が源泉徴収義務者を指定 |
課税方法 | 収入全額に対して課税 | みなし利益率に基づき課税 |
計算式 | 収入 × 税率(通常10%) | 収入 × みなし利益率 × 25% |
税負担 | 高い | 比較的低い |
手続き | 直接申告可能 (税務局による指定不要) | 煩雑 (申告時に「指定源泉徴収文書番号」が必要) |
特徴 | シンプルだが税負担が重い | 手続きは煩雑だが税負担が軽い |
指定源泉徴収においては、契約書等を管轄税務局へ提出し、審査を受けた後、サービス内容に応じてみなし利益率が決定されます。その結果、みなし利益率が記載された「指定源泉徴収文書番号」が発行されます。
さらに、各契約ごとに固有の「指定源泉徴収文書番号」が付与され、当該番号に基づき申告および管理が行われます。当該番号を取得していない場合、申告手続きを行うことはできません。
以下は、「指定源泉徴収文書番号」の形式を再現したものです。

指定源泉徴収の計算方法
指定源泉徴収に基づく企業所得税の源泉徴収申告においては、課税所得はみなし利益率に基づき算定され、企業所得税は以下の算式により計算されます。
源泉徴収税額 = 収入(人民元) × みなし利益率 × 25%
《国家税務総局〈非居住者企業所得税核定徴収管理弁法〉に関する通知》(国税発〔2010〕19号)第五条に基づき、税務局は非居住者企業の利益率を以下の基準により決定することができます。
当該利益率は、税務局による決定後、「みなし利益率」として課税所得の計算に用いられます。
① 工事請負、設計およびコンサルティング業務:15%~30%
② 管理サービス:30%~50%
③ その他の役務または役務以外の経営活動:15%以上
また、税務局が非居住者企業の実際の利益率が上記基準を明らかに上回ると判断した場合には、これらの基準より高い利益率を適用して課税所得を決定することができます。
実務上のポイント
実務上、税務局が中国法人に対して企業所得税の源泉徴収を求めるかどうかについては、支払先となる非居住者企業との関係性が一つの判断要素となるケースが見受けられます。
具体的には、関係会社間取引の場合には課税が求められる傾向がある一方で、関係会社ではない場合には、課税が求められないケースも一定程度見受けられます。
また、非居住者企業が中国法人の実質支配者である場合や、契約内容について詳細な説明を行った場合であっても、関係会社ではないことを理由として企業所得税の課税が求められないケースがあるのが実務上の実感です。
したがって、実務上は取引関係や契約形態に応じて、税務局との事前確認を行うことが重要となります。
根拠規定
非居住者企業に対する源泉徴収には、「法定源泉徴収」と「指定源泉徴収」があり、いずれも主に《企業所得税法》およびその実施条例に基づいています。
■ 法定源泉徴収
非居住者企業が中国国内に機構・場所を有しない場合、または有していても当該所得と実質的な関連がない場合には、中国国内源泉所得に対して、支払者が源泉徴収義務者として税額を控除・納付します。
※根拠条文:企業所得税法 第三条、第三十七条
■ 指定源泉徴収
非居住者企業が中国国内で工事作業または役務提供により所得を取得した場合、一定の条件のもと、税務機関が支払者を源泉徴収義務者として指定する制度です。この場合、税務機関は源泉徴収義務者に対し、税額の計算方法や納付期限等を個別に通知します。
※根拠条文:企業所得税法 第三十八条※企業所得税法実施条例 第百六条
指定源泉徴収の対象となる主なケースは、以下のとおりです。
① 工事作業または役務提供の期間が1課税年度未満であり、納税義務を履行しない可能性がある場合
② 税務登記または臨時税務登記を行っておらず、かつ中国国内の代理人による納税義務の履行が行われていない場合
③ 規定された期限内に企業所得税の申告または予定納税が行われていない場合
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