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【増値税・個人所得税・企業所得税】三代手数料について、非貿易送金時に源泉徴収した各種税金は対象?

更新日:2023年3月20日

上海MTACの太田です。

当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。


当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。

 
【増値税・個人所得税・企業所得税】三代手数料について、非貿易送金時に源泉徴収した各種税金は対象?



目次
1、三代手数料とは?
2、三代手数料の種類について
3、中国進出日系企業の源泉徴収において、主な対象は?
4、申請方法や申請期間
5、『源泉徴収・納付代行・徴税請負にかかわる手数料のさらなる管理強化についての通知(財行【2019】11号)』参考訳




1、三代手数料とは?

 中国の規定の一つで、源泉徴収義務者や徴税請負人が税務機関に代わって各種税金を徴収したことの報酬として、税務機関から源泉徴収義務者や徴税請負人に対して、徴収した各種税金の割合に応じた額が代行手数料として支払われます。



 その代行手数料は『三代手数料』と呼ばれ、各種税金の徴収にあたり、『源泉徴収(中国語で代扣代繳)』『納付代行(中国語で代收代繳)』『徴税請負(中国語で委托代征)』の三種類の代行方法が定められており、すべてに代行の代の字が付いています。

 


2、三代手数料の種類について

 前述したように三代手数料には、三種類の代行方法が定められています。


  • 源泉徴収(中国語で代扣代繳)・・・泉徴収義務者である会社や個人が、納税義務者に支払う収入から税金を徴収し税務機関に納税すること。


  • 納付代行(中国語で代收代繳)・・・源泉徴収義務者である会社や個人が、納税義務者から受領した税金を税務機関に納税すること。


  • 徴税請負(中国語で委托代征)・・・税務機関が、小口や分散または外地での徴税を各取引の関連の会社や徴税請負人に委託すること。



3、中国進出日系企業の源泉徴収において、主な対象は?

 三種類の代行方法のうち、中国進出日系企業が通常業務で実施するのは『源泉徴収(中国語で代扣代繳)』です。

 源泉徴収の主な対象は、個人所得税や、非居住者等に対して中国国内において源泉徴収の対象となる各種税金(企業所得税、増値税、都市建設税、教育費付加)です。

 また非居住者等に対して中国国内において源泉徴収の対象となる各種税金がどのような時に生じるかですが、日系企業の経済活動においては、非居住者等への非貿易送金が通常よく生じることがらかと思われます。


  • 三代手数料:各種税金の2%

  • 三代手数料の上限:70万人民元/年

  • 三代手数料の対象税目:

    個人所得税

    非居住者等に対して中国国内において源泉徴収の対象となる各種税金(企業所得税、増値税、都市建設税、教育費付加)



4、申請方法や申請期間

  •  三代手数料の申請方法・・・個人所得税とその他税目で異なります。個人所得税は個人所得税用の電子税務局を利用して申請し、その他税目は電子税務局を利用して申請します。


 ↓参考:電子税務局を利用して、源泉徴収した企業所得税、増値税、都市建設税、教育費付加の三代手数料を申請します。


  • 三代手数料の申請期間・・・前年度(1月1日~12月31日)に実施した源泉徴収、納税代行、徴税請負について、翌年3月30日まで申請できます。三代手数料を申請期間内に申請しなかった場合、税務機関は三代手数料を受領する権利を放棄したものとみなし、三代手数料は支払われません。


 実務上、事業者等が個人所得税の三代手数料を申請していない場合、税務機関から事業者等の財務担当者に連絡が入ります。ただし、その他の税目では個別に連絡はなく、企業等の自主的な申請に任されているようですので、三代手数料の申請漏れなどが起きないように注意したいものです。



↓三代手数料のまとめ

5、関連規定『源泉徴収・納付代行・徴税請負にかかわる手数料のさらなる管理強化についての通知(財行【2019】11号)』参考訳

 各省、自治区、直轄市、計画リストの財政庁(局)、国家税務総局の各省、自治区、直轄市、計画リストの税務局、中国人民銀行上海総部、各支店、営業管理部、各省会(首都)の都市中心支店、各副省級の都市中心支店に対して:


 源泉徴収、納付代行及び徴税請負(以下略称、「三代」)に関わる手数料について、『中華人民共和国予算法』、『中華人民共和国徴税管理法』及びその他の関連法律、行政法規に基づき、「三代」手数料の一層の管理強化を図るため、以下の通達を出す。


一、「三代」の範囲


(一) 源泉徴収とは、税法、行政法規において明確に定められている源泉徴収義務者である事業単位および個人が納税義務者に支払う所得から、税務機関に代わって源泉徴収を行い、税務機関に納付することをいう。


(二) 納付代行とは、税法、行政法規において明確に定められている徴収義務者である事業単位および個人が、税務機関に代わって徴収を代行し、税務機関に納付することをいう。


(三)徴税請負とは、『中華人民共和国徴税管理法』およびその実施細則の規定に基づき、税務管理に資し、納税の便宜を図るために、相互同意、簡易徴収、管理強化および法律と関連国家法規による委任の原則に従って、税務機関が小口、分散、外地での徴収を関連単位および人員に委任する行為をいう。


二、「三代」の管理


 税務機関は、『中華人民共和国徴税管理法』及びその実施細則の関連規定と「官から民への行政サービス」改革の関連要求に厳格に従って、「三代」の業務を遂行しなければならない。


 税務機関は、法律、行政法規および国家税務総局の関連規定に基づいて「三代」の事業単位または個人を決定し、独自の判断で「三代」の範囲を拡大したり、「三代」手数料率を高めたりしてはならない。


(一)税務機関は、国家税務総局の関連規定に従って、源泉徴収、納税代行を行う源泉徴収義務者を登録しなければならない。税務機関は、法律および行政法規により源泉徴収や納税代行の義務を負わない単位および個人に対して、その義務の履行を求めないものとする。


(二)税務機関は、法律、行政法規及び国家税務総局による委任徴収の関連規定に厳格に基づき委任徴収する範囲を決定し、法律、行政法規で既に決定された源泉徴収、納付代行による税金を他人に委任してはならない。


(三) 割合に基づいて支払うべき「三代」手数料について、税務機関は「三代」の事業単位又は個人の手数料率を決める際、税収と原価費用の軽減の観点から、「三代」の事業単位又は個人の事業量及び原価などを十分に考慮し、合理的な手数料率を定めるものとし、必要に応じ、当該所定の割合内で手数料の支払限度額を定めることができる。


三、「三代」手数料の支払割合と限度額

(一)法律および行政法規に規定された源泉徴収については、源泉徴収税額の2%を超えない割合で手数料を支払い、一人の源泉徴収義務者への年間支払限度額は70万元とし、これを超えての支払いはしてはならない。手数料の割合が明確に規定されている法律および行政法規については、規定された割合に従って実施されるものとする。


(二)税務機関は、法律および行政法規に定めるところにより、自動車税および船舶税の徴収のために、徴収した税額の3%以下の手数料を支払わなければならない。


(三)税務機関は、法律及び行政法規に定めるところにより、委託処理消費税の代行徴収税額の2%以内の手数料を支払わなければならない。委託者と受託者の間に関連関係がある場合、手数料は支払わないものとする。関連関係は、『中華人民共和国企業所得税法』及びその施行規則の関連規定に従って決定する。


(四)法律及び行政法規に定めるその他の税金の納付代行について、税務機関は税務機関に代わって徴収した税金の2%を超えない割合で手数料を支払わなければならない。


(五)税務機関が船舶税の徴収を交通運輸部門の海事管理機関に委託する場合、税務機関は徴収した税額の5%を超えない割合で手数料を支払わなければならない。


(六) 税務機関が自動車購入税の徴収を代理人に委託する場合、税務機関は自動車一台につき15元の手数料を支払わなければならない。


(七)税務機関が証券取引所または証券登録決済機関に証券取引印紙税の代理徴収を委託する場合、税務機関は代理徴収した税金の0.03%以下の手数料を支払うものとし、1人の徴収員に支払う年間上限額は1千万元とし、上限額を超える部分は支払ってはいけない。

印紙税の代理販売を委託する場合、印紙税額の5%以下の手数料を支払わなければならない。


(八)税務機関が郵政部門にその代理として徴税を委託する場合、税務機関は、その代理として徴税された税金の 3%を超えない割合で手数料を支払わなければならない。


(九)税務機関が農産品市場、業務用市場などの代理徴収を委託する場合、また小口、分散、外地での徴収を委託する場合、税務機関は徴収した税額の5%以下の手数料を支払わなければならない。


四、手数料の管理について


(一) 予算管理

  1.「三代」手数料は予算管理に含まれ、予算支出を通じて財務が統一的に手配するものとする。法律および行政法規に別段の定めがある場合は、当該法律および行政法規の規定が適用される。

  2.「三代」手数料は年単位で清算するものとする。源泉徴収義務者および徴収人は、毎年3月30日までに前年度の「三代」手数料の申請に関する関連情報を税務機関に提出しなければならない。事業単位または個人の都合で申請が間に合わない場合、前年度の「三代」手数料を自ら放棄したものとみなす。各レベルの税務機関は、「三代」手数料の申請を厳しく審査し、次年度の部門予算作成の基礎とする必要がある。

  3.源泉徴収義務者及び徴収義務者が年内に源泉徴収義務又は徴収義務者関係を終了した場合、終了後3ヶ月以内に手数料の申請書類を税務機関に提出し、税務機関は手数料の清算を処理するものとする。

  4.各レベルの税務機関は、『中華人民共和国予算法』、『予算管理制度の改革の深化に関する国務院の決定』及び財政部の部門予算作成の関連手順と要求に従い、事実に応じて翌年の部門予算に「三代」手数料申請を記載しなければならない。教育費付加の手数料の予算は、源泉徴収、納付代行、徴税請負により配分された正税の手数料の割合に基づき作成される。各レベルの税務機関は、各地域の財政観察専門事務所と積極的に協力し、部門予算の監督を実施する必要がある。

  5. 財政部は、承認された「三代」手数料の予算に従い、適時に支払計画を承認すること。各レベルの税務機関は、「三代」手数料を率先して適時に支払う必要がある。

  6. 「三代」手数料の当年度予算の不足分は、翌年度予算で補填する。繰越分は、翌年度にさらに使用するために保持し、余剰分は、規定に従って中央政府に納付するものとする。

  7. 各レベルの税務機関は、「三代」手数料の予算実績管理を強化し、科学的に実績目標を設定し、実績評価方法を改善し、実績評価の質を高め、実績評価結果の応用を強化する必要がある。


(二)会計管理

  1. 各レベルの税務機関は、行政機関単位の会計に関する関連管理規定に従って、「三代」手数料の適時、包括的かつ完全な計算をしなければならない。

  2. 各レベルの税務機関は、財政部の部門別会計の作成と審査に関する関連要求に従って、「三代」手数料の真実、正確、包括的かつ適時な決算を行い、かつ決算審査に関連する業務を行わなければならない。


(三)支払管理

  1. 税務機関は、国庫の集中支払システムおよび本通達の規定に従って、「三代」手数料を支払わなければならない。

  2.税務機関は事業単位または個人に対し、法律、行政法規または委託徴収協定に基づくことなく、源泉徴収、納税代行、徴収義務を履行するする者たちに、「三代」手数料を支払ってはならない。

  3.税務機関が互いに委託した税金の徴収については、手数料を支払ってはならない。

  4.事業単位が得た手数料収入は、単独で会計処理し、事業単位の収入に含め、「三代」事業に直接関連する事務機器、人件費、情報技術構築、消耗品、交通費などの管理費支出に使用されるものとする。上述の支出内容は、国家的な支出基準がある場合は厳格にし、支出基準がない場合は、現地の物価水準や市場価格を参考に、必要性に応じて支出する。 また事業単位が取得した「三代」手数料及び手数料の使用は、法令の関連規定に従って実施されるものとする。


(四)監督管理

  1. 各レベルの財政、税務部門とその職員が、「三代」手数料の予算作成、振替、決算等の承認の過程で、財務諸表に誤謬の存在があったり、「三代」手数料項目の資金管理において不正を犯したり、職権乱用、懈怠、えこひいきなどの法律、規律違反を犯した場合、『中華人民共和国予算法』、『中華人民共和国公務員法』、『中華人民共和国行政監察法』、『財政違法行為処罰処分条例』などの関連国家法規に従って責任を追及する。犯罪行為の疑いがあれば、司法機関に移送して処理することになる。上記の違反行為を行ったことが判明した税務機関に対しては、財政部および上級税務機関は、関連規定に基づいて、翌年の資金調達のための予算を減額することができる。

  2. 税務総局は、各レベルの税務機関の経費の使用と管理に対する検査、監査を強化し、監査署等の関連部門の監督や検査を受け入れるものとする。

  3.法律と行政法規に別段の定めがある場合を除き、各レベルの税務機関は、税金から直接手数料を引き出したり、国庫からの払い戻し処理をしてはならず、各レベルの国庫は、「三代」手数料の払い戻し処理をしてはならない。



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