【増値税・企業所得税】中国クラファンの会計&税務実務
- ohtashmtac
- 8月10日
- 読了時間: 3分
更新日:8月13日

1. 📊はじめに
クラウドファンディングは、資金調達の手段であると同時に、商品マーケティングやファンコミュニティの形成にも活用されるようになっています。しかし、中国ではクラウドファンディングの形態によって、会計処理や税務上の取り扱いが大きく異なります。
本記事では、購入型・寄付型・株式型のそれぞれについて、会計処理の流れと税務上の注意点を実務者の視点から整理します。
2. 📦購入型クラウドファンディングの会計・税務
この形態では、企業が事前に支援者から資金・物品・サービスの提供を受け、プロジェクト達成後に製品やサービスを返礼として提供します。名目上は「支援者からの無償寄付」と「企業からの無償返礼」ですが、実態としては企業による前受金型の販売取引に近いモデルです。
会計処理
資金受領時:企業は「前受金」として計上します。
返礼実施時:前受金を「売上」に振り替え、同時に対応する商品原価またはサービス提供コストを計上します。
プラットフォーム手数料:売上から控除せず、「販売費及び一般管理費」として処理するのが一般的です。
税務
売上計上時期:返礼品(商品やサービス)を提供した時点で売上計上し、増値税発票を発行して増値税を課税します
所得税調整:年末の企業所得税確定申告(匯算清繳)時に、必要に応じて課税所得への調整を行います。
3. 💝寄付型クラウドファンディングの会計・税務
会計処理
現金や物品の寄付を受けた場合、受領時に「営業外収入」に計上します。
新会計準則では、寄付による受入資産を最終的に「資本剰余金」に振り替える従来の規定は廃止されました。
大口寄付の場合でも、原則として受領年度に一括して企業所得税の課税所得に算入します。
税務
寄付金は原則として企業所得税の課税対象です。
要件を満たす公益寄付は、企業所得税上の損金算入が可能(上限あり)です。
4. 📈株式型(投資型)クラウドファンディングの会計・税務
株式型(投資型)の場合、本質的に「株式発行」の変種であり、資金調達行為です。会計処理の流れは以下の通りです。
会計処理
資金調達者は、投資資金を受領した後、定款で定められた登録資本金の範囲内で資本金(実収資本)として計上します。
受領額が登録資本金を超える場合、その超過分は資本剰余金(資本公積)に計上されます。
登録資本金を増加させる場合は、増資手続きを行います。
配当する場合は、出資比率に基づき配当額を計算し、配当します。
税務
資本金は企業所得税の課税対象外です。
株式の譲渡を実施する場合は、譲渡益に応じて各種税金がかかります。
7. 💡まとめ
クラウドファンディングは一見シンプルに見えても、会計・税務の観点では型ごとに異なる処理が必要です。
特に中国では増値税や企業所得税、外貨規制が絡むため、計画段階から会計・税務フローを設計することが、後のトラブル回避につながります。
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