中国販路拡大コンサルタントの太田早紀です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
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【個人所得税】改定版電子申告・納税システムの使用感
新バージョンでの電子申告も今回で2回目となりましたので、私見ですが率直な感想をお伝えしたいと思います。
旧バージョンの電子申告・納税システムは、申告書の記入項目の一つに、個人所得税の負担先を【企業負担】或いは【自己負担】のどちらかを選択できました。
【企業負担】とは、
本来は個人が負担すべき個人所得税額を企業が代わりに負担し納税することです。
日本では額面給与から社会保険料や所得税が源泉徴収された後の手取額を支給しますが、中国の場合、昔からの慣習を踏襲している企業では労働契約締結時に「手取り給与保障」で契約しているため、個人には保障する手取給与額で支給し、企業は会計税務上の処理として本来個人が負担すべき社会保険料や個人所得税を給与に加算します。
結果として個人の額面給与が増加するので、会社のコストである給与費が増加することになります。
規定でも個人所得税は個人が負担すべきものとなっていますので、あくまで慣習的なものです。国外企業の増加や中国の経済発展と共に徐々に意識が変わり慣習も変わりつつありますが、やはり依然踏襲している会社はあります。日系企業でももちろんあります。
さて、従前の旧バージョンでは、【企業負担】を選択する場合、手取給与額を申告書に入力します。入力後、自動的に額面給与額が逆算され、額面給与に基づいた個人所得税額が算出されます。また申告書に社会保険料や住宅積立金などの社会保険料を入力する欄がありますが未入力でも個人所得税額の算出には影響がないため、未入力となることが多々散見されました。
個人所得税額の算出には影響はなくても、申告書のみを確認しただけでは、手取給与額と個人所得税額が分かるだけで、社会保険料や住宅積立金も含めた額面給与が分かりません。
新バージョンの電子申告・納税システムは、申告書が額面給与での対応となっているため、個人所得税の【企業負担】の選択肢がなくなりました。必然的に社会保険料や住宅積立金の入力が必要になりました。養老保険や医療保険等の各カテゴリで月額保険料を入力します。
結果、申告書から額面給与・個人所得税額・社会保険料と住宅積立金が確認できるようになり、給与台帳や総勘定元帳との突合も行いやすくなりました。私見ですが良い使用感です。
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