中国販路拡大コンサルタントをしている太田早紀です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。
【個人所得税】KOLインフルエンサーなどの個人への支払い、『労務報酬』の税金とは?⑥
中国法人による個人への業務委託のうち、ここ数年のSNSマーケティングの発展もあり、インフルエンサーへの業務委託が増えています。
※インフルエンサー:中国ではKOL(Key Opinion Leader)といいます。
そこで、個人に業務を委託する際の税金(『労務報酬』の税金)について、上海市税務総局による解説も交えて、解説いたします。
目次:
1、労務報酬の概念
2、給与賃金と労務報酬の大きな違いとは?
3、労務報酬と経営所得の区別
4、同一の役務項目で連続性があるとき
5、労務報酬所得・原稿執筆料所得・特許権使用料所得の個人所得税額計算
6、非居住者個人が取得する労務報酬所得の計算方法
7、例を挙げての計算方法の紹介
6、非居住者個人が取得する労務報酬所得の計算方法
中国非居住者の個人に労務報酬を支払う場合、或いは個人に原稿の執筆を依頼した際の原稿執筆料を支払う場合、或いは特許権の使用料を支払う場合、企業などの源泉徴収義務者は、スポット単位或いは月次単位で個人所得税を源泉徴収し申告納付します。
中国非居住者の個人にとって、源泉徴収義務者が行うスポット単位或いは月次単位での個人所得税の申告は確定申告であり、翌年度の総合所得確定申告は不要です。
非居住者個人の労務報酬所得・原稿執筆料所得・特許権使用料所得の控除可能費用額:
スポット単位或いは月次単位の収入に20%を乗じた額を控除可能費用額とします。
当該収入から控除可能費用額を差し引いた残額が課税所得額になります。
なお、原稿執筆料所得の課税所得額は、上述で算出した課税所得額に更に70%を乗じた額になります。
非居住者個人の労務報酬所得・原稿執筆料所得・特許権使用料所得の個人所得税額計算公式
個人所得税額=課税所得額× 税率-速算控除額
※税率と速算控除額は個人所得税税率表三を適用します。
個人所得税税率表三↓↓↓
計算例:
中国非居住者の個人Aが、2020年に以下の収入を得た場合
①4月労務報酬所得2,000元
②8月労務報酬所得8,000元
③10月原稿執筆料所得5,000元
④12月特許権使用料所得20,000元
4月:個人所得税額=2,000×(1-20%)×3%=48元
8月:個人所得税額=8,000×(1-20%)×10%-210=430元
10月:個人所得税額=5,000×(1-20%)×70%×3%=84元
12月:個人所得税額=20,000×(1-20%)×20%-1,410=1,790元
【根拠となる規定】
「国家税務総局 新個人所得税法の全面施行に係る徴収管理の経過措置に関する若干の問題についての公告」(国家税務総局公告【2018】56号)
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