中国販路拡大コンサルタントをしている太田早紀です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。
【個人所得税】KOLインフルエンサーなどの個人への支払い、『労務報酬』の税金とは?②
中国法人による個人への業務委託のうち、ここ数年のSNSマーケティングの発展もあり、インフルエンサーへの業務委託が増えています。
※インフルエンサー:中国ではKOL(Key Opinion Leader)といいます。
そこで、個人に業務を委託する際の税金(『労務報酬』の税金)について、上海市税務総局による解説も交えて、解説いたします。
目次:
1、労務報酬の概念
2、給与賃金と労務報酬の大きな違いとは?
3、労務報酬と経営所得の区別
4、同一の役務項目で連続性があるとき
5、労務報酬所得・原稿執筆料所得・特許権使用料所得の個人所得税額計算
6、非居住者個人が取得する労務報酬所得の計算方法
7、例を挙げての計算方法の紹介
2、給与賃金と労務報酬の大きな違いとは?
給与賃金は、雇用・被雇用関係が存在している。
給与賃金所得とは、個人が企業・機関・団体・学校・部隊・事業所などの組織体に雇用され、被雇用者として労働力を提供することにより受け取る報酬をいいます。
労務報酬は、雇用・被雇用関係が存在していない。
労務報酬所得とは、個人が企業・機関・団体・学校・部隊・事業所などの組織体に雇用されておらず、独立した個人として組織体へ各種技能や芸術などの役務提供をすることにより受け取る報酬をいいます。
以上より、企業がSNSマーケティングの一環として個人で活動するインフルエンサーを雇用した場合(雇用・被雇用関係)は、給与賃金所得として個人所得税を源泉徴収し納税します。
企業が個人で活動するインフルエンサーに業務を委託する場合は、労務報酬所得として個人所得税を源泉徴収し納税します。
【根拠となる規定】
『国家税務総局「個人所得税を徴収する若干問題の規定」の通知』(国税発【1994】89号)
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