中国販路拡大コンサルタントをしている太田早紀です。
当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。
当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。
【企業所得税】研究開発費の加算控除(減算調整)②
上海市税務総局のWeChat公式アカウントに、研究開発費の加算控除(減算調整)に関する記事がありましたので、弊社の方で説明を少し加えた上で紹介いたします。
20年度の会計監査も終わり、法人確定申告の準備にそろそろ取り掛かる企業様もいらっしゃるかと存じます。とりわけ研究開発費がある企業様にはご覧いただけると幸いです。
また、2021年以降、中国政府は国内の研究活動の更なる増強のため、研究開発費の加算控除(減算調整)枠を現在の75%から100%へ増加させる方針もあるようです。
企業の研究開発活動において発生する費用の内、以下費用は加算控除(減算調整)の適用対象になります。
【対象費用の一覧】
労務費
直接投下した費用
減価償却費
無形資産の償却費
新製品の設計費、新工芸品の規定制定費、新薬の研究製造の臨床試験費、技術の探査開発のための現場試験費
その他関連費用
財政部と国家税務総局が規定するその他費用
以下費用は研究開発活動において発生しても、加算控除(減算調整)の適用対象にはなりません。
【対象外の一覧】
企業の製品(サービス)の定期的なアップデート
某科学研究成果に直接応用するもの、例えば新工芸品、材料、装置、製品、サービス或いは知的財産等に直接用いるもの。
企業が商品化した後に、顧客に対して提供する技術支援活動
既存の製品、サービス、技術、材料或いは工芸品のプロセスにおいて重複或いは簡単に改変できるもの
市場調査研究、効率調査或いは管理研究
工業(サービス)のプロセス或いは定期的なクオリティのコントロール、測定分析、補修維持
社会科学、芸術或いは人文学方面の研究
適用対象となる費用とならない費用について、事例を用いて説明いたします。
【例】
B科学型生産企業は、2020年度に若干の研究開発費用が発生した。
内訳は以下の通り。
①B1プロジェクトに専門的に関わった研究者の給与:100万元。
②B1プロジェクト専用の設備の減価償却費:15万元。
③B1プロジェクトの製品設計費:30万元。
④B企業の共通ソフトのアップデートの年間保守費:5万元。
上述費用の内、加算控除(減算調整)の対象となる費用は、以下の通りになります。
①B1プロジェクトに専門的に関わった研究者の給与:100万元。
②B1プロジェクト専用の設備の減価償却費:15万元。
③B1プロジェクトの製品設計費:30万元。
①②③の合計145万元。
加算控除(減算調整)の対象とならない費用は、以下の通りになります。
④B企業の共通ソフトのアップデートの年間保守費:5万元。
従いまして、20年度の加算控除(減算調整)の金額は以下になります。
145万元×75%=108.75万元
■関連政策について
1、『財政部 国家税務総局 科技部 研究開発費用の加算控除政策の完全化に関する通知』(財税【2015】119号)
2、『国家税務総局 企業の研究開発費用の加算控除政策の関連問題に関する公告』(国家税務総局公告2015年第97号)
3、『国家税務総局 研究開発費用の加算控除の集計範囲関連問題に関する公告』(国家税務総局2017年第40号)
4、『財政部 税務総局 科技部 企業の委託国外研究開発費用の加算控除関連政策問題に関する通知』(財税【2018】64号)
5、『財政部 税務総局 科技部 研究開発費用の加算控除割合増加に関する通知』(財税【2018】99号)
6、『国家税務総局 修正後公布した「企業所得税優遇政策項目の手続方法」に関する公告』(国家税務総局2018年第23号)
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