【企業所得税】従業員福利費について②
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【企業所得税】従業員福利費について②

更新日:2021年8月25日

中国販路拡大コンサルタントをしている太田早紀です。

当ブログでは中国の会計・税務・労務に関する規定や実務について解説しております。


当ブログをご覧の皆様におかれましては、中国の会計・税務・労務について知り、中国子会社の財務面のサポートや中国での販路拡大にお役立ていただけると幸いです。

 

 上海市税務総局の公式Wechatで、従業員福利費勘定について、よく散見される間違った税務処理の解説がありました。


 中国進出日系企業の従業員福利費は、一般的には従業員の健康診断や慰安旅行・新年忘年会などがあり、なじみの深い勘定科目です。



 当ブログでは、税務局が指摘する実務において間違えやすい税務処理3例を紹介いたしますので、ご参考にしていただければ幸いです。




【企業所得税】従業員福利費について②


目次:
1、従業員福利費の損金算入についての変更を知らずに処理
2、従業員福利費の損金算入範囲を過大解釈
3、誤って従業員福利費科目に計上


2、従業員福利費の損金算入範囲を過大解釈

【間違った処理例】

上海市にあるY企業の2018年の従業員福利費は賃金給与総額の14%を超えていなかった。

しかしながら、福利費科目の内訳に一部の従業員を対象とするジム費用5万元と旅行費用15万元があった。

※ジム費用は事務費用ではなく、Gymの方です。



当企業は税務調査時に、

2018年度確定申告で損金処理した一部の従業員を対象とするジム費用5万元と旅行費用15万元について、従業員福利費の損金算入範囲を過大解釈しているとみなされ指摘を受けました。

(具体的には、加算調整を行っていなかった)



【根拠となる規定】

『国家税務総局 企業賃金給与及び従業員福利費の損金算入問題に関する通知』(国税函【2009】3号)より、損金算入できる範囲は主に以下の通りです。


(一) 社内の福利部門の施設費・人件費など集団福利に属するもの

従業員食堂・従業員用の浴室・理髪室・医務室・託児所・療養院等や福利部門の従業員の賃金給与・社会保険料・住宅積立金、労務費等を含む。

(二) 住宅手当、通勤手当、食事手当、医療手当、暖房手当、高温手当等や非貨幣性福利

(三) その他の規定に基づき発生した葬祭補助費等の福利費

企業の収益と直接関連しない支出に関しては、損金算入を認めない



上述の規定より、従業員福利費の損金算入できる範囲の要点は以下の通りです。


  • 集団福利に属するもの

  • 企業の収益と直接関連する支出



【税務調査の結果】

一部の従業員を対象とするジム費用5万元と旅行費用15万元を加算調整し、企業所得税額の追納と延滞金を支払うことになりました。



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